──各社の官民ワークショップの発表内容などについて教えてください。

【味の素】当社代表取締役社長でCEOの西井孝明と、NPO法人日本栄養改善学会の武見ゆかり理事長、途上国問題に詳しいNHKの道傳愛子解説委員、英国食品基準庁初代長官でオックスフォード大学シーザスカレッジの前学長でもあるジョン・クレブス卿などが登壇し、パネルディスカッションを行います。

食でまず大事なのは栄養面ですから、必要な栄養分に関する正しい知識をいかに広めるかというのが当社にとっては重要なテーマになります。ただ、おいしく楽しく食べるという“食の文化”を継承していくことも大切。家族や恋人と一緒においしいものを食べることで感じる喜びや幸せ、また世界各地で発展してきた郷土料理のような文化を守っていくことも、未来の食料問題を考える上で忘れてはならない切り口だと思います。当日は、栄養と食文化をいかに持続可能な形で両立させていくかを、登壇者にそれぞれの立場から語っていただきます。

(株)伊藤園
T2020推進部
菊地洋子課長

【伊藤園】お茶も日本という場所で育まれた食文化の一つ。その継承という視点には共感を覚えます。まさにそうした思いも込めて、当社はランチセッション形式で、代表取締役社長の本庄大介が参加者に日本茶の魅力を語り、実際にお飲みいただく予定です。手間ひまかけて作られた日本茶には、味の素さんが大切にされているうま味成分も豊富に含まれています。文化を守り、発展させていくためには、本物の日本茶を味わっていただくことが一番です。

そのほか当社がお茶の文化の継承・発展のために行っている茶殻の再利用や耕作放棄地を活用した大規模農園、ICTを活用した茶園経営などについてもご説明いたします。ノンシュガー、ノンカロリーという緑茶の健康面へのメリットが海外のクリエイティブ層を中心に受け入れられており、福利厚生の一環として無償提供する企業も広がっています。その現状や価値について紹介したいと考えています。

【みずほフィナンシャルグループ】海外で緑茶が健康飲料として認識されているという点は重要ですね。社会の課題について考える際には、広い視野が欠かせません。

当グループのテーマは先ほど申し上げたとおり健康長寿社会です。当社執行役社長でグループCEOの佐藤と筑波大の久野譜也教授、広島県の湯﨑英彦知事、そして世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーが登壇されます。

健康長寿社会の実現にあたっては、全体の7割に及ぶとされる健康無関心層の積極性をいかに引き出すかが課題となります。その解決策として期待されているのが、我々が今回議題として提示する健康ポイントです。この取り組みは、歩数や運動プログラムへの参加などに応じて、参加者が共通ポイントや地域振興券などを得られる仕組みです。当日はこの取り組みからの気付きを題材に、新しいビジネスモデルやソーシャルイノベーションなどの議論を展開したいと考えています。

マーシュ ジャパン(株)
マネージングディレクター兼エンプロイ―ヘルス&ベネフィッツ本部
宮本宜幸本部長

【マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ】みずほさんの取り組みのように、病気というリスクは未然に防ぐことが大切です。当社も企業の福利厚生システムの構築などに関わっていますが、企業で働くほとんどの方が現状では健康状態が良好なので、その状態を維持し、強化していく仕組みをつくることが私たちの仕事の一つです。

当社が提供するランチセッションでは、東大寺の庶務執事・塔頭清涼院住職であられる森本公穣師にご登壇いただきます。外資系企業と東大寺というユニークな組み合わせから生まれる一体感を味わっていただきたいと考えています。持続可能な経営という面でも1300年もの長きにわたり組織を継続させてきた東大寺からの学びは多いはずです。当日は、「継続すること」「つながること」「ともに取り組むこと」をキーワードに、日本最古の組織ともいえる東大寺の長い歴史に見る危機を乗り越えるための秘訣から、リスクという不確実性を最小化するための取り組みと持続可能な企業経営のヒントを探ります。

──各社が社会的課題の解決に向け、それぞれの観点から注力していることがよく分かりました。最後に、取り組みを進めていく上で国や政府にはどのようなことを期待するか。一言お願いします。

【味の素】こうして今日、異業種の方と話し合えたことは大きな刺激になりました。持続可能な世界の実現という大きなゴールに向かって、互いのアイデアを提示し合うこのフォーラムのような舞台を、国などには数多くつくってほしいと思います。

【みずほフィナンシャルグループ】まさにそのとおりです。今日皆さんと話したことで、違う視点を持った方々と意見交換し合う必要性を強く感じました。さらに多くのグローバルリーダーが集うフォーラムが楽しみです。

【伊藤園】業種だけでなく、官と民との壁も取り払って、全体で未来について考えていける仕組みづくりをお願いしたいですね。

【マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ】そういう意味では、このフォーラムは非常に大きな一歩だと思います。業種や官・民・学の枠を超えてパートナーシップを広げていけるような文化の植え付けを、国や政府には期待しています。

──本当に当日が楽しみです。貴重なお時間をありがとうございました。

文部科学省が初めて開催するスポーツの国際会議、この秋いよいよ開催。

 

【日程・会場】
2016年10月19日(水)~20日(木):京都(ロームシアター京都等)
2016年10月20日(木)~22日(土):東京(六本木ヒルズ等)
【参加者】
国内外のスポーツを担当する大臣や国際的な振興団体のトップ、グローバル企業の経営トップや世界経済フォーラムYGL、著名研究者および国内外主要経済メディア等
【主催】
文部科学省

【特設サイト】
http://wfsc2016.mext.go.jp/