資産運用、資産形成にローンを賢く活用する──。野村信託銀行のサービスが今、注目を集めている。そのメリットはどこにあるのか。フリーキャスターの小宮悦子さんが、信託銀行ならではの役割を含め、鳥海智絵社長に聞いた。

長期の資産運用に前向きなローン活用

小宮悦子(こみや・えつこ)
1958年生まれ。81年東京都立大学人文学部卒業後、テレビ朝日に入社。「ニュースステーション」や「スーパーJチャンネル」などでキャスターを務める。現在はフリーキャスターとして活動する。

【小宮】鳥海さんが社長に就任されたのは2年前。わが国初の女性の銀行トップとして脚光を浴びました。そもそも野村信託銀行は、野村證券を中核とするグループの中でどのような役割を担っているのですか。

【鳥海】個人のお客様に対しては、「預金」や「ローン」といった銀行機能と、「遺言信託」といった信託機能を提供しています。野村グループの中では、野村證券と連携した「資産運用・資産形成のための各種金融サービス」を提供することが基本的な役割。野村證券を代理店にすることで、野村證券店頭とインターネットで事業展開しています。それを背景として、預金・ローン・振込などのサービスにおいて、野村グループならではの特徴的なサービスを提供しています。

【小宮】なるほど、グループのシナジー効果ですね。「遺言信託」は高齢社会という時代背景もあり、近年クローズアップされています。一方、ローンサービスについては、どういった種類のものを提供されているんですか。

鳥海智絵(とりうみ・ちえ)
1965年生まれ。89年早稲田大学法学部卒業後、野村證券入社。96年米スタンフォード大学経営大学院(MBA)修了。野村證券の執行役員経営企画担当などを経て、2014年4月より現職。

【鳥海】野村證券に株式や投資信託をお預入れしているお客様が簡単にお借入れができるサービスです。例えば、何か資金ニーズが発生してお持ちの有価証券を売却しようとしたとき、このローンサービスを活用し、一旦お借入れをすれば、投資を継続しながら、急な資金ニーズに対応することができる。お金を借りるという選択肢を持っていただくことで、長期的視点での資産運用が可能になります。

このローンの使い道は原則自由。最短で翌日にはご利用いただけます。こうしたサービスをご存じないお客様も多く、「こんな便利なものがあったのか」という声もいただいています。

【小宮】有価証券で資産運用されている方は一般に富裕層で、ローンを利用する必要がないイメージもあるのですが、実際の活用事例で印象的なものはありますか。

【鳥海】家族旅行、不動産投資、お子さんやお孫さんへの援助、クルマの購入資金など、利用目的はさまざまです。いずれにしても、人生を前向きに生きるために利用される方が多い印象です。また最近は、役員への報酬をストックオプションや株式で払う会社も増えています。受け取った方は、勤務先の株式なのでなかなか売却するわけにもいかない。そこでこのローンを利用して自宅をリフォームされたお客様もいらっしゃいました。

また資産のほとんどを自社株でお持ちのある起業家の方は、若い芸術家を支援する公益組織を作りたいと、当社のローンを活用されました。

【小宮】ローンといっても「切羽詰まって借りる」というケースばかりではないんですね。それに、実際にローンを利用しなくても“いざという時には借りられる”、これが安心感につながることもありそうです。人生、いつ、何が起こるか分かりませんし。先ほど、長期的視点での資産運用が可能になるというお話もありました。そこでも、いざという時の安心感が大きな意味を持ってきそうですね。