Q.LDL-C値はどのくらいまで下げればいいの?
A.実はリスクの程度によって、一人ひとり違ってきます
一般論ですが、LDL-C値は低いほどよく、極端な例を除けば低過ぎても危険はありません(※7)。ただ、下げるには生活上の努力や治療費が負担になりますよね。そこで日本動脈硬化学会によるLDL-Cの目標値は、主に狭心症や心筋梗塞の発症リスクの程度によって4段階に分かれています。その診断に影響するのは、年齢、性別、血圧、喫煙の有無、自分自身や家族の病歴ほかいろいろ。リスクが高い人ほど、より低いLDL-C値が目標になるわけです。
※7 CTT Collaboration. Lancet 2005; 366:1267-78; Lancet 2010; 376:1670-81.
Q.LDL-C値に最も気をつけるべきなのは、どんな人?
A.一度、心筋梗塞や狭心症を起こしてしまった人は、特に注意が必要です
例えば心筋梗塞の患者さんでは、再発リスクが高率です。発症から2カ月間で約10%、1年後には約15%に達すると報告されています(※8)。しかも、脳卒中を起こすリスクも高いといわれています。
では、どうするか。発症した患者さんでは心筋梗塞のリスク管理、すなわち禁煙や血圧、脂質を管理することが重要です。なかでもLDL-C値を低下させること、少なくとも100mg/dL未満を保つことが非常に大切です。そうすれば、進行した動脈硬化が改善することも期待できるからです。
※8 Wallentin L et al: Lancet 356: 9-16, 2000
Q.母も私もLDL-C値が高めなのは、食生活が似ているせい?
A.それは家族性高コレステロール血症(FH)かもしれません
遺伝性の病気であるFHを考えたほうがいいか、まず上の3つを確認してみてください。これらの項目に当てはまるのであれば生活習慣によってLDL-C値が高いというよりもFHの可能性があります。早めに医師へご相談ください。
FHは、主に肝臓でのLDL-Cの取り込みが悪いため、血液中のLDL-Cが増加するという病気。遺伝性なので子どものころからLDL-C値が高く、動脈硬化が進むのです。治療せずにいたら30代、40代で心筋梗塞や狭心症を起こすリスクは、一般の約20倍といわれ、そうした病気で亡くなるFHの女性は、全年齢層をあわせると6割近くも(※9)。
とはいえ治療を長く続けることで、冠動脈疾患のリスクは下げられます。若いうちにコントロールを始めれば、寿命は健康な人とほぼ同じに。早期の診断と治療の開始が求められます。
※9 馬渕宏. 日本臨牀2013; 71(suppl3):170-187