「当面はお金に困っていない」「今が忙しくて、先のことにまで頭が回らない」。こんな理由からセカンドライフの準備を先延ばしにしてしまっている人は、今すぐ見直しを。早めの行動で安心を手に入れることができる。

4月に女性活躍推進法がスタートした。これからはますます、第一線で活躍する女性が増えていきそうだ。厚生労働省の調査によると、全労働者に占める女性の割合は上昇傾向にあり、2014年度は42.9%(2009年度比1ポイント増、53万人増)に上った。質的な変化も起こりつつある。女性活躍を推進する国の政策を追い風に、マネジャーや管理職など、リーダーとして働く女性を増やしていこうという機運も盛り上がっている。

そこで気になるのが、女性活躍時代のセカンドライフのマネープラン。経済力をつけて自活できる女性が増えてきたから、老後も悠々自適……かといえば、必ずしもそうとは限らない。実際、明治安田生活福祉研究所の調査では、40代、50代で「老後のための資金準備が重要」と考える割合は女性のほうが男性よりもかなり高く、40代で10ポイント程度、50代で7ポイント程度上回っている。

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出所:「セカンドライフの生活設計に関する調査」(明治安田生活福祉研究所、2015年9月)より作成

将来に不安を感じる女性が多い背景には、「自分たちの老後モデルがない」ことがあげられるかもしれない。景気が右肩上がりで終身雇用が保証されていた時代は「世帯主として働く男性と、家事や育児に専念する女性」という役割分担がはっきりしていた。退職後の人生設計も世代間で共通のモデルがあり、老後の生活資金は退職金とマイホーム、そして手厚い公的年金で手当てするのが普通とされてきた。けれど現在は雇用が流動化し、公的年金の先行きは不透明。結婚して子どもを持つのか、夫婦2人のDINKSで暮らすのか、シングルで過ごすのか―親世代と同じ生活設計は通用しなくなっていることを、最前線に身を置く女性ほど実感している。

とはいえ責任ある立場につけば仕事は忙しいし、結婚している女性であれば出産や子育てなど、大きなライフステージの変化も待っている。そもそも男性よりも女性のほうが長生きする確率が高く、そのぶん先々までお金がかかるという事情もある。せわしない“今”に追われて、やるべき未来への備えが不十分……。その思いが、いっそう不安を強めてしまうのかもしれない。けれど、将来に向けた資産形成の重要性に気づいているなら、すでに第一歩を踏み出しているといっていい。

将来が不安だからと節約や預貯金に熱心な人もいるが、歴史的な低金利が続く状況で、預貯金だけでお金を増やすのは難しい。それにやはり、今の生活にお金をかけて楽しむ心も大事。効率的にお金を増やすには、やはり保険や金融商品、不動産運用なども選択肢の一つとして考えたい。投資信託や外貨預金、ワンルームマンションなど資産運用の手法はこれまで以上に広がっている。お金が減ってしまうリスクが心配という人には、時間をかけて資産をゆっくり育てる長期運用がおすすめ。早めに始めればそのぶん安定的な資産形成をしやすくなる。

老後の生活費をまかなうだけなら、貯蓄と年金だけで十分かもしれない。けれどセカンドライフは、子育てや会社勤めを終えて手に入れた「自分のための時間」のスタートでもある。憧れていた国々を旅行したり、ハンドクラフトやガーデニングなどの趣味を深めてみたりと夢は広がる。働く今と同じように、セカンドライフも生き生きと輝く人生を実現するために。女性とお金のあり方は今後も注目のテーマになりそうだ。