カフェや公共交通機関など、無料でWi-Fiサービスを使える場所が増えています。便利さの裏側に潜むリスク、意識できていますか?

東京オリンピックに向けて、都市部では無料で使えるWi-Fiスポットの整備が急速に進んでいます。こうしたフリーのWi-Fiスポットが普及した一方で、気になるのがネットワークの安全性。「みんな使っているから大丈夫」……こう考えて油断していませんか? フリーWi-Fiでは、通信内容そのものが盗まれてしまう可能性もあるのです。

無線でインターネットに接続するWi-Fiは、設定によっては情報を盗み見られるリスクの高い通信方法です。にもかかわらず、フリーWi-Fiにはセキュリティ対策が不十分なものも存在します。もしもそんなWi-Fiで、取引にかかわる重要書類やスケジュールなどをやり取りして、その情報が漏れてしまったら──。会社に思わぬ損害を与えてしまうかもしれないのです。

そうした事態を防ぐために、例えば企業内の無線ネットワークでは、強固な認証システムやデータを外部から読み取れなくする暗号化システムなどが多く採用されています。しかしフリーWi-Fiのなかには、利便性を優先して認証を不要にしていたり、暗号がかかっていない、あるいは暗号化技術が簡易的で盗み見されやすいものが少なくありません。

さらに、Wi-Fiではアクセスポイントを偽装することも可能。アクセスポイントは誰もが自由に作ることができ、その名前の付け方にも制限はありません。見慣れたカフェの名前のアクセスポイントが、実はあなたから情報を盗むために仕掛けられたワナだった……そんなぞっとする事態が起きる可能性もゼロとは言えないのです。

外出先でインターネットに接続したいなら、USBなど有線を用いたモバイルルーターやスマートフォンのテザリングが比較的安全。もしもフリーWi-Fiを利用する場合は最低限、暗号方式や認証の有無を確認すべきです。それを見分けるポイントのひとつが、「鍵マーク」。鍵マークがついていないアクセスポイントは無認証で暗号化されていないと考えられ、通信内容の盗み見は容易です。極力使用すべきではないでしょう。

自宅からWi-Fiでインターネットに接続するときも、同様に接続認証や暗号化などの対処が必要。最新のセキュリティソフトには、弱い暗号のネットワークに接続しようとした場合、警告する機能を備えたものもあります。

時短勤務で仕事と子育てを両立したり、在宅で起業したり。女性の働き方が多様化する時代に、ネットが強い味方になることは言うまでもありません。通信手段のリスクを正しく知ることは、ワーキングウーマンの必須条件と心得ましょう。

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前田典彦(まえだ のりひこ)株式会社カスペルスキー  チーフセキュリティエヴァンゲリスト。マルウェアやインターネットセキュリティに関する調査研究や、ITセキュリティ対策の啓発活動に取り組む。

※カスペルスキーは、世界主要32か国でITセキュリティソリューションを提供し、全世界で4億人を超えるユーザーと27万の企業をIT上の脅威から保護しています。

女性リーダーのためのITリスク管理術

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(Illustration=おかの博美)