アジアでの需要増を見込み台湾プロジェクトに着手
石油化学メーカーとして発展を遂げていくには、世界の市場にも目を向けていく必要があります。そこで現在、台湾で当社にとって初となる海外生産拠点の整備が進行中です。私たちはプラスチック製品などを柔らかくする可塑剤の原料である「イソノニルアルコール(INA)」の国内唯一のメーカーで、今後この原料はアジア市場での需要増が見込まれています。こうしたニーズをにらみ、昨年INAの原料の輸入元である台湾の国営企業と現地に合弁会社を設立。合弁相手先が新設した大型設備からの原料供給を受けて、19年に工場の操業開始を目指しているところです。実現によって、一層競争力あるINAの生産が可能になります。そのぶん、国内での高付加価値製品の研究開発などに一層の力を注げればと考えています。
なお、今回の合弁会社設立にあたっては、日本政府が出資する国際協力銀行が資本参画しており、日台間のナショナルプロジェクトという側面も持っています。
四つのCを大切にして好循環を生み出していく
今後も変革のスピードを落とすわけにはいきません。なぜ現状に満足してはならないのか。その真意を私自身が社員に伝えていくことも大事です。そこで昨年1年をかけ、約600人の社員と直接顔を合わせる機会を持ちました。さらに中期経営計画などについて説明する従業員フォーラムも拠点ごとに13回開催しました。こうした対話の際に私が語るのが、組織にとって重要な“四つのC”の話です。
一つ目のCは「Communication」。何事もまず意思疎通から。二つ目が「Courtesy」。礼儀を表し、相手の立場になるという意味で私は説明しています。そして「Curiosity」、好奇心は成長の糧になります。そして最後が「Challenge」です。
海外展開を進めているいま、特に現地の社員にはCourtesyの大切さを強調しています。謙虚に相手の立場でものを考えることで、そこには信頼関係が生まれてくる。それは、グローバルに限らず、あらゆるビジネスを成功に導くための鍵となるはずです。
これら四つのCを社員が大切にしている会社は、必ず社会に必要とされる存在となるでしょう。それが結果的に収益につながり、また社会が必要とする製品をさらに生み出すことができる──。まさにそうした好循環を生み出し、持続可能な経営を推進していくのが、私の使命だと考えています。