法整備の後押しもあり、業務効率化の手段としてのペーパーレス化が注目を集めている。紙ベースの処理が多い経費精算でも、クラウドサービスを導入する中小企業が急増中だ。

紙による文書処理には人的コストがかかる

経営資源の有効活用は、あらゆる企業の重要課題。特に社員一人一人の果たす役割が大きい中小企業では、生産性の向上が生き残りに直結する。しかし中小企業庁の発表によれば、実際のところ中小企業の従業員一人が生む付加価値額は大企業の半分以下である。

そんななか、生産性アップの一手段としてあらためて脚光を浴びているのがペーパーレス化だ。紙の文書を電子化して、検索性に優れ、迅速に処理でき、保管場所もとらないデータとして扱うことで、業務の効率化や印刷費の削減など多様な効果が期待できる。国も「e-文書法」や「電子帳簿保存法」などで文書の電子化を後押し。昨年の電子帳簿保存法改正では、領収書のスキャン保存が金額を問わず可能になるなどの要件緩和が行われ、今後は、帳票類のペーパーレス化がさらに進むことが見込まれる。

紙ベースでの文書の処理には、実は多くの人的コストが隠れている。例えば、日常的な経費精算。これを紙やエクセルで行っている企業は、今でも約7割を占めるというデータがある。しかし交通費などを精算する場合、申請者は経路や運賃を一つ一つ調べ、申請書を作成しなければならない。これはかなりの手間になるはずだ。

申請を承認する管理職も、すべての部下の申請書を多忙な業務の合間を縫って確認するのは骨が折れる。承認期限が迫れば、そのために外出先から戻らなければならないこともあるだろう。

そして見逃せないのが、紙の申請書を一枚ずつ確認し、項目を仕分け、集計や会計ソフトへの入力を行う経理担当者の負担。件数が増えるほど時間もかかり、ミスの可能性も高くなる。

こうした煩雑な単純作業を上手にシステム化し、ペーパーレス化を進めていけば、全員が本来の業務に集中できるようになり、会社全体の生産性も大きく高まるはずだ。

多彩な機能を搭載し全関係者の負担を軽減

改善の余地が多い分、システム化の効果が見えやすいのが経費精算。これまで中小企業にとっては費用面でのハードルがあったが、近年は安価なクラウドサービスも登場し、ペーパーレス化が進んでいる。

なかでも使い勝手の良さと高いコスト削減効果で支持されているのが、申請→承認→精算のフローをすべてIT化したラクスの「楽楽精算」だ。交通系ICカードの読み取り機能など多彩な機能が搭載され、現在、クラウド型経費精算システムとして最多となる約1200社で活用されている。

「楽楽精算」の特徴の一つは、申請手続きの手軽さにある。交通費の申請では、交通系ICカードをリーダーにかざすだけで即座に申請データが作成され、面倒な運賃の入力などは不要。法人名義のクレジットカードで支払いをすれば明細データが「楽楽精算」に連携され、それが申請用のデータになる。外出先で支払いをした領収書をスマートフォンで撮影し、撮った画像を添付してそのまま申請することも可能だ。

簡単・確実な承認を助ける機能が豊富で、外出先からの承認も行えるため、承認者の負担も軽減される。乗換案内機能が内蔵され、交通費の申請内容が「早」「安」「楽」の経路かどうかも分かるためチェックも簡単。申請者の入力事項に規定違反があった場合はエラーが出るため見落としも防げる。さらに交通系ICカードやクレジットカードの支払いは利用履歴が申請データとなるため、申請者による水増し等の不正を予防する効果もある。

経理部門でも、生産性が大幅に向上する。申請と同時に勘定科目と申請データが自動で紐づけられるため、手作業による仕訳は不要。承認されたデータから、経費の自動銀行振込などに使うFBデータを作成することもできる。また会計ソフトとも連携可能なため、データを再度手入力する必要もない。これらの機能が省力化と人的ミスの防止につながっていく。

ネット環境があれば簡単に導入できる

経費精算のペーパーレス化で効率化とコスト削減を進めながら、ミスや不正の予防効果も期待できる。そんな「楽楽精算」のサービス利用料金は、初期費用が10万円で、月額は3万円から。クラウド型システムなので、ネット環境があれば特別な準備は必要なく、運賃改定等の反映もラクス側で行う。今使っている紙・エクセルの伝票と同様の書式や項目を再現できるほか、承認フローを変えずにそのままシステム化できるなど、導入の手間の少なさと低コストが魅力だ。

従業員100人の企業における「楽楽精算」の導入効果として、経費精算にかかる時間をコスト試算してみると、紙・エクセルの処理では年間289万円だったものが、106万円と約3分の1に削減。紙の精算書を使わないことで、入力や確認作業の時間が短縮された結果といえる。また、これに加えて紙や印刷代も削減されることになるため、効果はさらに大きいだろう。利用企業からも「月に250時間かかっていた支払・仕訳業務が数時間で済むようになった」「業務時間が大幅に短縮され、ミスの心配もなくなった」といった声が寄せられている。

「ITで中小企業を強くする」を理念に掲げるラクスでは、ほかにも効率化を加速させる多様なツールを提供。例えばWEB帳票発行システムの「楽楽明細」は、紙の請求書や納品書を電子化し、発行作業の効率化や印刷費、郵送費の削減などを実現する。

経営資源の有効活用は、中小企業の死活問題。日常的な業務に潜むコストを見直し、改善することが新たな成長につながっていく。「楽楽精算」は無料トライアルもあり、気軽に試すことができる。ペーパーレス化による業務効率化の手始めとして、その効果を実感してみるといいだろう。