水稲栽培の支援で
ミャンマーの大地に根づく

電話から2カ月後、ミャンマーを訪れ、日本の農林水産省にあたる政府機関の担当大臣に面会。1年間、首都ネーピードーで現地の研究者と共に植物用万田酵素を使い、水稲栽培の農業試験を敢行、成果は上々だった。

「エーヤワディ管区で植物用万田酵素を使ったところ、米の収穫量が1エーカー当たり2倍に増えたという報告がありました。技術者としてフィールドでの農業試験をしたいという思いもあり、同地域での継続を決めました」

エーヤワディ管区は想像を絶する貧困地域だ。農業は天候に左右され、収入は不安定。インフラは十分とは言えず、交通手段は船のみ。

「エーヤワディを訪れる際は寺が常宿、時には船に泊まることも。ここで暮らすと、スイッチ一つで灯りがつき、蛇口をひねれば水道が出る、日本での恵まれた暮らしの有り難みを実感します。日の出とともに起き、日の入りとともに眠る。それは人の暮らしの原点。訪れるたびに生き方、働き方までを考えさせられます。現地の人々は経済的には貧しくとも、心は豊かです。子どもたちの笑顔には代えがたい魅力があります。私たちの支援で米の収穫が増え、経済の現状を改善することが事業の推進力、やりがいとなっています」

松浦社長は現地での得難い経験を社員と共有したいと思い、社員研修を実施。社長の思いは、着実に受け継がれているという。

現在、ミャンマーには同社の社員が2名常駐し、現地スタッフ4名と共にプロジェクトを推進している。

ミャンマーへの稲作支援プロジェクトは、今年で3年目。企業の社会貢献活動の一環として着手した事業だが、今後、継続するためには、ビジネスとしての成算も求められてくる。

今秋からは販売事業の本格化に乗り出そうと、今後に向けて計画中。経済格差もあり、「植物用万田酵素」は現地で高価なので、バルク単位で輸出し、現地での製品化を目指すなど現地事情に配慮した施策を視野に入れ、現地雇用も考える。

「生活が改善した」「雨季でも収穫できるようになった」「根張りが良く、倒れにくくなった」という現地の人々の声が松浦社長を後押しする。

最近ではミャンマーについて同社に問い合わせる企業も少なくない。

「二番煎じは誰でもできる。しかし、地に足をつけてやってきた我々にしかできないことがあるという自負がある」と松浦社長は気概を込めて語る。

植物由来の万田酵素は、植物本来の生命力を引き出し、根張りを促す効能があるという。万田発酵は「万田酵素」を擁して着実にミャンマーの人と大地に確かに根づいている。