親の介護は今後の心配事の一つ。働き盛りのビジネスパーソンにはそんな人も多いだろう。介護する側、される側双方の負担を軽減するため、今、知っておきたいポイントとは──。

日本で公的介護保険制度がスタートしたのが2000年。この15年の間にも、介護施設待機者のさらなる増加など、高齢者を取り巻く環境は大きく変化した。では、今後はどんな変化が考えられるのか。これから親の介護を行う人にとっては気になるところだ。

そのヒントとなるのが、実は公的介護保険制度自体の変化である。例えば、介護報酬の改定。介護報酬とは介護保険制度の下でサービス事業者に支払われる報酬だが、その中身は3年ごとに見直されており、これが将来の介護のあり方を指し示している。ちょうど今年度も、次のような改定が行われた。

「定期巡回・随時対応型訪問介護看護の体制強化に対して加算」「小規模多機能型居宅介護の体制強化に対して加算」──やや専門的な言葉が並ぶが、要は在宅サービス、地域密着サービスの充実に、国ははっきりと舵を切っているのである。

確かに高齢者の数がさらなる増加を見せる中、施設に入れる人は限られる。実際、今年から特別養護老人ホームに入所できるのは、原則「要介護3以上」の人に限定されている状況だ。

日常生活をサポートし
自立を促すロボット


出典:内閣府「高齢者の健康に関する意識調査」 (全国60歳以上の男女が対象。平成24年)

では、“介護する側”はどうしたらいいか──。在宅介護への備えが重要な課題となる中で、注目したいのが技術の力である。テクノロジーの進展も、まさに介護を取り巻く環境変化の一つといえるだろう。

例えば、経済産業省と厚生労働省は「ロボット技術の介護利用における重点分野」を公表しており、その開発や導入を後押ししている。具体的な重点分野は、移動支援機器、入浴支援機器、排泄支援機器、見守り支援機器など。センサーを活用して屋内での転倒を検知するロボット、寝室に設置できる移動式の水洗便器、電動の立ち上がり補助機能が付いた歩行器などの開発が進められている。

また、国の事業以外でも、高齢者の日常生活をサポートし、自立を促すという観点から、すでに食事や読書、服薬などを支援するロボットが登場しており、市場は着実に拡大中である。

とかく介護の問題は、その苦労に焦点が当たりがちだ。もちろん厳しい側面があるに違いないが、やはりプラスの変化にも目を向けたい。高齢者の安全や快適を支える介護ロボットなどは、今後、介護する側にとっても不可欠な存在となっていくことだろう。