世代を超えて
ほぼ同様の結果に

生きがい──。いろいろな場面でよく使われる言葉だが、実は日本独特の言い回しだともいわれる。例えば英語では、「reason for living」「a purpose in life」などとなり、確かに微妙にニュアンスが違う。理由や目的というより、「生きがい」には、生きる喜び、張り合いといった語感の方がしっくりくるだろう。日本人は、生きることに前向きな意味を与えたい。そんな思いが強いのかもしれない。

では、あなたにとっての生きる喜び、張り合いとは、どんなものだろうか。ある調査によれば、成人男性の結果は下のとおりだ。35歳から74歳まで幅広い年齢層を調査しているが、結果はどの年代もおおよそ同じ。全体としては1番が「趣味」で、2番が「子ども・孫・親などの家族・家庭」だ。

「子ども・孫──」という回答。子育て世代の30代、40代であれば、わが子の成長が生きがいというのは、よく分かるが、65歳以上でもおよそ40%の人がこれを挙げている点は注目に値するだろう。子育てを卒業したシニア世代においても、実は孫などの存在が生活に大きな影響を与えている。そうした事実は、これからセカンドライフを迎える人にとっても、また関連の事業を展開する人にとっても、抑えておきたいポイントといえるだろう。

すでに「孫旅」は
確立されたジャンル

そして、1番の「趣味」について、シニア世代ではやはり“旅行”が定番だ。現在、国内旅行市場のけん引役はまさにシニア層。国民全体の年間の旅行費用の4割程度を60歳以上が占めているというデータもある。

総務省が今年9月にリリースした「統計から見た我が国の高齢者」でも同様のことが指摘されており、60代が国内外のいわゆる「パック旅行」に使うお金は年間6万9300円(一世帯あたり)で、30代の2万9200円の約2.4倍だ。

シニア世代の嗜好も多様化しているはずだが、なぜ全体としてこれほど旅行へのニーズが強いのか。それは、あらためて上のデータを見るとよく分かる。そこで挙げられた「スポーツ」「ひとりで気ままにすごす」「自然とのふれあい」「友人など家族以外の人との交流」──。いずれも、旅行との親和性が高い。実際、旅行代理店やリゾート会社からは、趣向をこらしたさまざまなシニア向けのツアーやプランが出されており、それが多様化するシニアのニーズに応えているわけだ。

そして、三世代、また祖父母と孫との旅行も、人気のカテゴリー。「孫旅」という言葉も生まれ、それはすでに確立されたジャンルの一つ。こちらも、バラエティーに富んだプランが用意されている。

社会や人口構造の変化に対する企業の反応は、やはり敏感だ。そこから提供される多様な選択肢を知っているか、いないかで暮らしの充実度も変わるだろう。生きがいを実感できる時間を過ごすため、セカンドライフにおいても、確かな情報を得て、それを生かすことが重要であるといえそうだ。