先端的な物流施設を基軸に総合的な物流施設ソリューションを提供する大和ハウス工業。ネット通販の進展や企業のグローバル化など、日々変貌するビジネスモデルの進化を支えている。

いまや物流施設は
ビジネスの重要拠点に

時にはオフィスでもあり、工場でもあり、店舗でもある──そして、その実体は「物流センター」。このように多様な機能を持ち、先端システムを備えた物流施設が最近注目を集めている。

「その背景にあるのは、産業・社会構造の大きな変化です」と語るのは、大和ハウス工業の浦川竜哉常務執行役員だ。住宅メーカーとして知られる大和ハウス工業だが、実は物流施設の領域でも主要プレーヤーである。1955年創業時の倉庫建設をルーツに、80年代以降は大手小売店などの出店戦略もサポート。物流施設だけでもすでに3000棟を超える実績を持っている。

その建築事業を率いる浦川氏が、まず指摘するのは「近年の急激なグローバル化による、物流拠点の役割拡大」だ。「生産拠点の海外移転により、従来国内の協力工場が担っていたジャスト・イン・タイムの生産調整機能を、物流施設が肩代わりする動きが加速している」というのである。

以前から物流分野では、コスト削減や効率化へ向け、3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)の活用とともに、物流拠点の整備が着々と進められてきた。しかし近年は、海外で生産された部品や中間財が完成品製造のために国内に輸入されるケースが増加。大ロットで搬入された荷を適時、適所へ配送する重要拠点として、物流施設の比重がさらに高まってきているのだ。

「例えば当社がこの3月に開設した『DPL横浜大黒』(横浜市鶴見区)。横浜港に隣接し首都高ICへも近いため、輸出入拠点として、また首都圏をカバーする物流拠点として関心を集めています。免震構造で太陽光発電や非常用発電装置を完備し、BCP(事業継続計画)にも貢献する。マルチテナント型としては『DPL三郷』(埼玉県三郷市)、『DPL相模原』(相模原市)に続く3棟目。これまでの物流施設の中では最大規模の施設となっています」

「DPL横浜大黒」(左)は複数の企業が利用するマルチテナント型の最新施設。BCP対策を意識して免震システム、自家発電設備、太陽光発電設備、津波対策として1F床レベルを上げるなど、最新鋭の物流センターとなっている。一方、BTS型の「Dプロジェクト城南島」(右)は、経営戦略を実現するため、細かな要望をていねいに吸い上げた上で設計、施工されたオンリーワンの物流施設だ。