単なるイメージではなく
「ファクト」の積み重ね

東塚将志●とうづか・まさし
トヨタ自動車
U-Car事業部 開発室
ネットワークグループ

確かなファクトの積み重ねで安心の中古車選びをお手伝いしたい

トヨタの「T-Value」で特に注目したいのは、車両状態の開示を徹底している点だ。普通なら見過ごしてしまうような微小なキズも、「車両検査証明書」に「図解入り」で記載。しかもクルマの評価を「点数表示」(総合評価は11段階、内外装は5段階)して、中古車に対する “漠然とした不安”の解消に努めている。

さらにトヨタならではといえるのが、「認定車両検査員」という資格制度。U-Carの品質を評価し、署名入りの証明書を発行できるのは、認定車両検査員だけ。検査員になるには専門研修からスタートし、その後、実技試験を受ける必要がある。しかも合格後も、2年ごとの資格更新を義務化。継続的に技能力の維持、向上に努めている。

「『トヨタだから安心だろう』というイメージだけではなく、確たる『ファクト(事実)』を積み重ねることで、お客様に『安心』『信頼』して中古車を選んでいただきたい」と東塚さんはT-Valueへの想いを語る。

ここであらためて、「T-Valueハイブリッド」独自のサービス内容を確認すると、まず「U-Carハイブリッド保証」でメインバッテリーやハイブリッドコントロールコンピューターなど8つの部位を万が一の時は無償で修理(先に述べた条件あり)。加えて、綿密な点検の結果を示した「ハイブリッドシステム診断書」を必ず発行する──。まさに、ファクトに基づいた具体的なメリットの提供により、ハイブリッドU-Car市場で、明確な差別化を図っていることがよく分かる。

ハイブリッドU-Car元年
販売は急カーブで上昇中

販売開始後の半年間で、販売台数が4倍に拡大した「T-Valueハイブリッド」。市場がハイブリッドU-Carに安心や保証を強く求めていたことがうかがえる

販売車両の「商品化力」と販売後の「保証」──。この2つの“駆動力”は、トヨタの販売前線を大いに活気づかせている。いまやU-Carでもハイブリッド車が特別なものではなくなり、今後も「アクア」をはじめとする人気車種が、続々と中古車市場に出てくるはず。トヨタは、昨年を“ハイブリッドU-Car元年”と位置づけているが、その戦略も十分にうなずけるものだ。事実、象徴である「T-Valueハイブリッド」の販売台数は、右のグラフのとおり、わずか半年間で4倍に増加している。

現在、「T-Value」加盟店は全国約180社、およそ1700店舗。トヨタディーラーの規模感からすると、今後さらに拡大することが予想される。ネットワークが広がれば広がるほど、消費者は近くのお店で「自分の乗りたいU-Carが選べる」わけで、利便性は一段と高まる。もっとも「GAZOO」(トヨタ自動車のクルマ情報サイト)を活用すれば、全国の「T-Value」取扱店から車両を検索することが可能。そこから車種・年式を絞り込んでいくのも、好みのクルマを探す1つの方法だろう。

「このT-Valueハイブリッドを通じて、これまでハイブリッド車に手が届かなかったお客様にも安心してハイブリッドU-Carを購入していただき、その素晴らしさを体感していただければ嬉しく思います」と語る東塚さん。安心、信頼のための取り組みは、今後ますます中古車選びの重要な基準の1つになりそうだ。

取材協力/東京トヨペット(株)T:cuz 昭島店、トヨタメトロジック(株)