2013年7月18日(木)

株で勝てる人と負ける人はどこが違うか

PRESIDENT 2013年5月13日号

著者
小幡 績 
慶應義塾大学 ビジネススクール准教授

1967年生まれ。東大経済学部卒。ハーバード大経済学博士。旧大蔵省を経て現職。近著『ハイブリッド・バブル』で日銀の暴走に警鐘を鳴らす。

小幡 績 構成=村上 敬 撮影=浜村多恵
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相場に強い人と弱い人は何が違うのか──ネット投資家の行動を分析した行動ファイナンスの第一人者が語る「勝つ知恵」とは。

「株」を見るな、「人」を見よ

アベノミクスで株価が上がったのを見て、いまから株の購入を検討している人は、頭を冷やしたほうがいいかもしれません。はっきりいって、もう買い時は終わり。株価の上昇は、日銀総裁に黒田東彦さんが就任した時点で一息ついた感があります。

バブルの再来を期待する声もありますが、それはアベノミクスを過大評価しています。バブルは、資金流入量が継続的に増える余地があるときに起こります。具体的には、投資家たちが増えるかどうか、そして投資額が増えるかどうかです。たとえばライブドアをはじめとした新興企業の株価が上昇した2005年ごろは、株に興味がなかった若者たちがこぞって株を買いました。投資家の層が広がったから、株価も上がったわけです。

では、今回はどうか。いま株を買っているのは65歳以上の年金世代が中心です。『会社四季報』が売り切れ続出らしいですが、いまどき紙媒体に頼るのは年寄りしかいない。アベノミクスが利いているのは中高年層だけで、20代30代はほとんど反応していません。だからバブルにならないというのが私の見立てです。

今後は、金融政策などに一喜一憂して乱高下する展開になるはずです。そのタイミングをつかまえるのも難しいので、株で利益を出そうと思うなら、銘柄を選ぶ必要があるでしょう。

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米アップル株急落の原因は、投資家の気分

個別銘柄を選ぶときには、業績などのファンダメンタルズにとらわれないほうがいいと思います。株価は需給ではなく、ファンダメルタルズから見て割高か割安かで決まると考えるのが、従来のファイナンス理論でした。しかし、実際の株価はそれでは説明のできない動きをします。たとえば700ドルだったアップル株は、スティーブ・ジョブズがいなくなったいま、400ドルまで下がった。収益状況は大きく変わっていません。変わったのは、投資家の気分です。ジョブズがいたときは永遠に成長し続けるように思えたけど、没後は、永遠なんてありえないよね、という気分に変わった。それで株価も下がったのです。

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