すり方が下手だから軽蔑される

結論から言うと、ゴマすり男は出世します。人間、好きな人を依怙贔屓するのは当然ですから。

ゴマすりが軽蔑されるのは、すり方が下手だから。上手にゴマをすれば、誰だって必ず出世します。

下手なゴマすりとは、どう見ても不細工な人に「すごいハンサムだね」と言うなど、皮肉と受け取られかねないもの。それから特定の人だけにゴマをすることです。目下には威張るくせに、目上には媚びを売るからよくない。上にゴマをすりながら、同時に下へもゴマをすることが大事です。

たとえば部下に「キミ、すごくできるよ。俺のほうが先に入社したけど、俺を気にせずどんどん上へ上がってくれ」などと言ってあげると、下の人たちからも「あの人はいい人だ」と持ち上げてもらえる。それを見た上司は「こいつなら上と下のいいパイプ役になる」と思って引き上げてもらえるので出世できる。

ゴマすりは人間関係のスキルですから、練習すればするほどうまくなる。相手の選り好みをしているとあまり練習の機会に恵まれませんが、会う人すべてにゴマをすっていれば、その分練習量が加算されてうまくなっていきます。上下の関係だけでなく、同僚や他部署の人、取引先にもゴマをすりましょう。相手を選んでゴマをすっているようじゃ、まだまだ。

しかもゴマをすりまくることが日常の一部になれば、まったく苦痛ではなくなります。呼吸したり歩いたりするのと同じように、無自覚に出るようになったらゴマすりも本物。どうせゴマをするなら、このレベルまでいかないと。

ただし「中途半端にゴマをするのはよくないんだな」と思ってやめてしまってはいけません。なぜなら最初はみんな中途半端だから。英会話と一緒で下手だからといってしゃべらなければ、いつまでも下手なまま。継続は力なりです。

ゴマすりとは歯の浮くようなお世辞を言うことではありません。ほめるのがイヤなら、話しかけるだけでも立派なゴマすりに。こちらから挨拶をするだけでも、「私はあなたを認めています」というサインになる。昔から言われるホウレンソウ、つまり「何もなくても上司に報告する」なんていうのはゴマすりの最たるものでしょう。それから笑顔をつくるのは、「あなたを受け入れています。あなたが好きです」というサイン。だから、そういうサインを出している人は、ゴマをすっているつもりがなくても、運とかビジネスチャンスが寄ってくる。いわゆる愛想があるというやつです。