測れないものは達成できない

インテルでいうと、創業者のアンディ・グローブがよくキレることで有名です。私は本社入社組なので、彼と20年間一緒に働いていましたが、入社当時、アリゾナに勤めていたときに、初めて彼との会議に出席した際、彼はまさしくキレていて、「すごいところに来てしまった」と戦慄が走ったのを今でもよく覚えています。

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インテルは「キレる」文化で、順調に売上高、純利益を伸ばしてきた

そもそもインテルという会社は、非常に「デマンディング」(要求水準が高い)な会社です。グローブが会議でキレる理由も、部下の報告内容が彼の期待値よりはるかに下の水準だからです。

期待値とのギャップに、フラストレーションがたまりにたまって、爆発する。私も彼がキレる気持ちはよくわかります。私自身、マネジメントを行ううえで、社員に対する期待値と成果が見合わなかったときに、同じようにフラストレーションがたまるからです。

では、期待値を超えれば、それだけでいいのかといえば、そんなことは決してありません。成果を出せば“Good Job!”と言われますが、「じゃあ次はここまで」とすかさずバーを上げられる。エンドレスです。でも上げ続けるバーに対し、常に期待値を超える成果を出せるかといえば、いつもそんなことはない。しかし、インテルは、バーを上げ続けなくてはならないのです。トップにフラストレーションがたまり、キレるのは、ある意味、当然のことだといえます。

“Do more with less. Better cheaper faster.(無駄をなくせ。本当に効率良く仕上げろ)”これが、インテルの経営陣の、要求の核にあります。グローブは、「アウトプットが出ないマネジメント、目的がないマネジメントはありえない」と言います。インテル自体、「測れないものは達成できない」という考えで、そういう意味で非常に論理的な企業といえるでしょう。