2013年5月27日(月)

挨拶で相手の心をツカむ -「買う気にさせる、怒りを和らげる」決めゼリフ【1】

「ジョーク、洒落、比喩」の使い方:商談編

PRESIDENT 2011年10月3日号

著者
面澤 淳市 めんざわ・じゅんいち

1964年、茨城県生まれ。水戸第一高校、法政大学法学部卒。雑誌「財界」などを経てプレジデント編集部へ。著書に『東芝』『ソニー「プレステ2」のマルチ情報革命』など。

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文=面澤淳市 撮影=的野弘路

「仕事に笑いは必要です。でも、本当に大事なのは笑うことや笑わせることではなく、その根幹にある『余裕』みたいなものだと思います」

K.I.T.(金沢工業大学)虎ノ門大学院主任教授の三谷宏治氏が指摘する。三谷氏はボストン コンサルティング グループなどで20年近く戦略コンサルタントとして活躍した経験を持つ。顧客企業との丁々発止のやり取りのなかで、ビジネスマンにとり「余裕」こそが成長の鍵である、という真理に行き着いた。

「余裕があるところに遊びが生まれ、遊びのあるところに創造性や独創性が生まれます。そして独創的なおもしろいアイデアなり提案なりが出てきて、それがお客さんに認められればいいわけです。一方、そうではなくハードワークで認められるとどうなるか。ひたすらハードワークによって応えていくしかないから、そこには笑いもユーモアも生まれない。悪循環が始まります。そうならないために、おもしろさや独創性、ユニークな発想で認められるべきだと思うんです」

格好の実例がある。マーケティングの専門家で日本コカ・コーラ元会長の魚谷雅彦氏だ。日本企業ライオンから外資へ転じ、10年前には40代で日本コカ・コーラ社長に就任した。「爽健美茶」など日本発のヒット商品を育てあげた名経営者であり、米本社の経営陣とアメリカン・ジョークで渡り合うツワモノでもある。

「ユーモアは人の気持ちを動かすコミュニケーションのツールだと思います」

これが魚谷氏の認識だ。たとえば社内の結束力を高めるため、社長就任時に次のような“いたずら”をしかけた。

「当社の行動規範を小冊子にして本社勤務の600~700人に配りました。ただ配るだけでは印象に残らないので、ボトル型の真っ赤なマウスとパッドを人数分つくり、ある夜一斉に取り替えました。その横に、1人ひとりの名前を刻印した小冊子を置いたのです。翌朝はもう大騒ぎ(笑)。でも、それによって行動規範がより深く気持ちに入ったと思うのです」

この余裕。相手が社員だろうと取引先だろうと原理は同じだ。以下、商談に使える珠玉の実例を紹介しよう。

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