林野 宏(りんの・ひろし)
1942年生まれ。西武百貨店入社後、マーケティング部兼営業開発部長などを経て同百貨店宇都宮店次長。82年西武クレジット(現・クレディセゾン)にクレジット本部営業企画部長として転籍し2000年より社長。著書に『勝つ人の考え方 負ける人の考え方』(かんき出版)、『運とツキの法則』(致知出版社)など。

知性を示すIQ、理性や人間性を示すEQはよく知られている。そこに、本書の著者であるクレディセゾンの林野宏社長はBQ(Business Quotient=ビジネス感度)という新指標を提唱する。

「かつて日本の会社はIQの高い人を新卒採用し組織で鍛えて従来のやり方を踏襲させていきました。日本全体が経済成長し市場のパイが膨らんでいく中ではそれでいいのですが、いまはパイが縮小する時代。少ないパイを同業他社と奪い合わなければならない。そんな椅子取りゲームを生き残るのに必要な能力はIQでもEQでもなく、ライバルを出し抜く知恵や戦略を描ける『BQ』だと考えたんです」

BQはビジネス能力を示す指標で、その計算式はこうなる。

「BQ=IQ×EQ×SQ」

最後の「SQ」とは感性のことだ。BQの中でも、SQが特に大事だと林野社長は説明する。

「SQは、いうなれば時代の変化を敏感に察知する能力で、観察力といってもいい。いま世の中で何が受けていて、どんなニーズがあるのかを見抜き、それをビジネスに活かす力のことです」

林野社長自身、クレジットカードのサインレス取引や、ポイントの有効期限を撤廃した「永久不滅ポイント」など、クレジットカード業界に変革を起こしてきた。そうした従来の発想を飛び越えるビジネス感覚がSQであり、BQなのだ。

では、BQを磨くにはどうすればいいのだろうか。林野社長は「遊ぶこと」だと話す。

「昔は、ベーゴマやメンコなど、子ども同士で勝負をして、相手のものを取り合うような遊びをしていました。取られるのはイヤだから、勝つために一生懸命考えるでしょう。そういう経験が大人になって感性や知恵になると思うんです。いまの子どもたちはテレビや携帯のゲームで遊びますが、何もリスクがないので勝つために必死に考えたりすることが少ない。だからいまの若い人は、頭はよくても、人に先んじるような知恵を身につけている人が少ない気がします」

映画を観る、本を読む、音楽を聴くなどといった、一見ビジネスとは関係なさそうなことも感性を磨く訓練になるという。

「感性や知恵を磨くポイントは、夢中になれるかどうかです。遊びって夢中になってやりますよね。そうすると能力も飛躍的に伸びる。いちばんいいのは、仕事を遊びにしてしまうこと。そうすればグングンBQが上がっていきますよ」

変化が多いということはビジネスチャンスも無限に転がっているということ。それを見つけ拾い上げる力がBQなのだ。