2013年4月2日(火)

「メイドカフェが文化になるには」

秋葉原☆マネタイズ【第3回】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
梅本 克 うめもと・まさる
デジタルハリウッド大学客員准教授 Ph.D.(経済学)

梅本 克

1967年生まれ。1998年、ヴァンダービルト大学(米国テネシー州)卒。米国留学時より少女漫画の翻訳活動を通して日本文化の普及に努め、2005年にアジアアニメーション産業組織体(AAO)を立ち上げて、アジア各地でコンテンツ産業の育成や若手クリエイターの支援を行う。これまで国内外で多くのアニメ、ロリィタファッション、ヴィジュアル系など、日本のポップカルチャーに関わるイベントをプロデュースし、現在は秋葉原に活動拠点を置いて、新しい文化の創造と発信を通した地域活性化プロジェクトに携わる。趣味は仏像鑑賞とコスプレプロデュース。柔道二段と茶道石州流奥傳の資格を持つ。主な関心は秋葉原における趣味文化の経済学。

執筆記事一覧

梅本 克=文(デジタルハリウッド大学客員准教授)
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なぜ10年で半分以上が閉店するのか

メイドさんは「架空の生き物」なのです。(コスプレイヤー=みるる 撮影=宮嶋)

秋葉原がテレビや雑誌で紹介されるとき、必ずと言っていいほど登場するのが「メイド」と呼ばれる女の子たちです。今や秋葉原の象徴とも思えるメイドさんたちが活動しているのは、主にメイドカフェと呼ばれる店舗です。秋葉原にメイドカフェが誕生したのは2001年で、その頃の私はメイドカフェ巡りが大好きでした。メイドカフェでは1杯500円以上が相場のコーヒーを注文すると「お砂糖とミルクはいかがですか?」とメイドさんに尋ねられるのですが、砂糖かミルクをお願いするとメイドさんが甲斐甲斐しくスプーンでコーヒーをかき混ぜてくれます。私はブラックで飲むので、何も入れずにコーヒーをかき混ぜてもらうようメイドさんにお願いするのが密かな楽しみでした。

日本全国のメイドカフェをくまなく訪問した人が作成したデータベースによると、2011年末の時点で132店のメイド系店舗やサービスが秋葉原にあります。これまで秋葉原で開店したメイド系店舗はのべ282店舗で、そのうち150店舗が閉店しました。メイドカフェが秋葉原に出現してから約10年の間に、開店した店舗の半分以上が閉店していることになります。メイドカフェはそう簡単に儲かるビジネスではないようです。なぜならメイドカフェは普通の喫茶店とは全く違った費用構造を有しているからです。

メイドカフェにも、食材などの仕入れの費用があり、その他家賃や光熱費などもあるのですが、普通の喫茶店と違うのは人件費の割合です。メイドカフェでは、メイドさんは重要な経営資源であるため、ある程度の人数のメイドさんを常時揃えておかなければなりません。そのため、どうしても人件費が大きくなり、普通の喫茶店のような経営では利益率が低くなるどころか赤字必至です。人件費の負担に耐え切れず、メイドさんへの給料不払いが続く店舗は、「そろそろ閉店かな」と噂が広まったりします。

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