100万円くらいは珍しくありません。すごい資料が出たときに300万円まで入札したことがありますが、あとになって、そのときは競合がなく10万円ほどの最低落札価格で十分だったことがわかりました。しかし、どうしても欲しいという人が出てくるのではないかといつも不安で、「やらずの札」というのですが、つい飛びぬけて大きな額を提示してしまうのです。

あるときは、地方の収集家から貴重な資料を譲ってもらうために値段の交渉をしましたが、内心では5000万円でも出そうと覚悟していました。もちろん僕にそんな大金はありません。どうやって金をつくるかは後回しにし、相手が絶対に手放してくれるような額を見積もりました。実際にはその100分の1の額で済みましたが、あのときもし「5000万円」といわれていたら、一生かけても算段しただろうと思います。

不思議なもので、清造研究の5000万円なら抵抗なく出そうと思えるのに、日々の暮らしでは1万円どころか7000~8000円のお金でよく喧嘩をします。

そもそも僕は貪欲にお金が欲しいと思ったことはありません。清造資料に関しては別ですが、自分では普通に生活して少しは風俗通いができれば十分。その月に食べていくための数十万円だけが僕にとってのリアルな金額です。たとえば2010年の収入は、僕にしては上出来の480万円でした。しかも確定申告をしたら還付金が29万円も戻ってきた。これだけでもう満足なのです。もらってうれしい額としたら300万~400万円、すぐに使いきれるくらいの額ですね。