森沢さんが勧めるトレーニングとは、主に「音読パッケージ」と「瞬間英作文」の2つだ。

音読パッケージでは、1つの英文をいろいろなやり方で計30回、声に出して読む。まずはリピーティング。テープを聞き、英文の内容を完全に理解してから、テキストに沿って一言一句正確にリピートする。次にテープを使わないテキストの音読。そしてテキストを見ずにテープだけのリピーティング。最後はテープの音声を流しながら少し遅れて繰り返すシャドーイング。この4行程を1パッケージとして、1つのテキストに対して音読を15回、残りは5回ずつ、計30回を行う。

森沢さんは英語上達のうえで、音読ほど効率的な方法はないと話す。

「重要なのは、構造や意味のわかっている英文を自分の口から発すること。音読だけでは単調ですが、リピーティングとシャドーイングを挟むことで変化がつく。さらに耳を使うことで聞き取り能力が上がります。音読パッケージを行えば、リスニング対策の時間が節約できます。初心者からTOEIC600点ぐらいまでは、ほぼ音読パッケージだけでいいでしょう」

瞬間英作文では、単語や表現に難しいものが一切ない、きわめて簡単なテキストを使って、短文を暗唱していく。たとえば、「この小説は多くの人に読まれている(=This novel is read by many people.)」といったレベルで構わないのだという。

「ポイントは3つ。簡単な文を数多く作ること、スピードを重視すること、暗記しないこと。英文の組み立てに集中してトレーニングをすることで、英語の回路を自分の中に組み込む。その結果、英語で話せるようになります」

森沢さんが教えてきた経験からは、自分の英語力に謙虚に向き合い、中学レベルの英語からやり直せる人ほど早く伸びるという。たとえばNHKラジオ「基礎英語」の「2」や「3」のテキストとCDは、中学2~3年レベルで、音読パッケージの教材向きだ。