「日本維新の会の獲得議席は40から50議席程度に留まる見通し。以前は100から120議席は取りそうだと見られていたが、勢いを失いました。石原慎太郎前東京都知事の太陽の党と合併したことで、国民から“維新は変質した”と見られてしまった」―卓抜した取材力で知られる政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏(BS11報道局長)はそう語る。
12月16日投票の衆議院選挙は、台風の目と見られた日本維新の会の勢いが急速に萎んだことで、自民党・公明党が衆院の過半数(241議席)を獲得できるかどうか、そして選挙後の連立の組み合わせに焦点が移った。
全国紙選挙担当記者によると、12月初旬現在の新聞・通信各社の世論調査では、各社とも、自民党220議席、公明党30議席ぐらいという数値が出ているといい、民主党は100議席に届くかどうかという。
「大きな状況変化がない限り自公が過半数を確保するのは確実。維新の急落、日本未来の党の旗揚げなどで、第三極と民主党が票を食い合い、その分、自民党が漁夫の利を得た格好だ。維新は大阪府の小選挙区では全勝の勢いだが、同じ近畿でも奈良、兵庫などは苦戦しており、全国的な広がりに乏しい」(全国紙記者)
だが、自公が、たとえ衆院で過半数を握っても、参院では自公が過半数割れしており、法案を通すには野党の協力が必要。政権運営は容易ではない。
「安倍氏は民主党との連携に消極的。自民党幹部らは、改憲など安倍氏と思想や考え方が近い維新の会や、5年前の安倍政権で公務員制度改革担当相を務めた渡辺喜美代表のみんなの党に連携を呼び掛けるだろうと見ている。維新の石原氏は連携に応じるが、みんなの党は来夏の参院選での第三極勝利をにらみ、野党に徹するのではないか」(全国紙政治部デスク)
既成政党を批判してきた維新が自民党と組むのは自殺行為のようにも思える。
総選挙後、維新はどうなるのか。
「政界では、総選挙で40~50議席しか取れなかった場合、維新は早晩分裂すると見られています。自民党との連携に走る石原氏らが橋下氏を追い出すか、それとも逆に橋下氏が石原氏らを追い出すか」(鈴木氏)