<女子高版イカゲームといえるドラマがいじめを誘発?:ニューズウィーク日本版ウェブ編集部>
横一列に並んで歩く女子学生の足
写真=iStock.com/Lincoln Beddoe
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ネットフリックスやDisney+などの動画配信サービスで世界的に人気の韓国ドラマだが、なかには刺激的な内容が議論を呼ぶ作品も少なくない。そんな18禁指定の過激なドラマが、リアルな世界に悪影響を及ぼしたとして、問題になっている。韓国メディアNEWSIS、YTNなどが報じた。

問題になったドラマは韓国の動画配信サービスTVINGのオリジナルドラマ『ピラミッドゲーム』。全10話で製作され、2月29日から3月21日まで配信された学園ドラマだ。日本でもLINEマンガで配信されている同名の人気ウェブトゥーン(WEBマンガ)が原作で、女子生徒たちが毎月最終木曜日の5時間目、互いに投票してA〜Fまでの階級を決め、下位になった生徒たちは教室の清掃、給食などをやらされるいじめ対象になる。

これまでにもいじめ問題や校内暴力を扱ったドラマはあったが、この『ピラミッドゲーム』では民主的な投票でいじめの対象を決めるという点が独創的で注目を集めた。また、出演者として人気K-POPアイドルグループ宇宙少女のボナが主演することや、IVEのチャン・ウニョンの実姉チャン・ダアがこの作品で女優デビューするといったことでも話題となった。

刺激的な内容で海外でも人気に

衝撃的な設定に加えて、映像化にあたって原作以上に刺激的な内容になっているため韓国では18才以下観覧不可という扱いで配信されたドラマだが、「社会の縮小版」のような教室で繰り広げられる女子高生たちの階級ゲームは「韓国のハイティーンの現実を赤裸々に投影し共感を得た」と評価された。また物語が最終的に、生徒たち自らの意志で残酷なサバイバル闘争を止めた点について、「校内暴力に対する警戒心を目覚めさせた」という評価を受けた。

こういった反応を裏付けるように配信元のTVINGは「『ピラミッドゲーム』最終回が公開された後、TVING週間有料加入機会数1位を記録した」と発表した。それによるとTVINGの先月の月間アクティブユーザー(MAU)は661万人で、過去最大水準を記録。日別のアクティブユーザー(DAU)も歴代最大水準の165万人に達し、MAUとDAUはいずれも1月から2カ月連続で最大記録を更新したという。また、インドネシア、シンガポールでの動画配信サービスでもランキング2位に入る人気となった。