恋愛でなくても、仕事や遊びにつながるかもしれない

「学校縁」は何も婚活のためだけのものでもありません。卒業後、それぞれの道を進んだ同級生同士が、そこで再会または新しく出会うことで仕事や遊びにつながることもあるでしょう。そこからそれぞれのネットワークと新たにつながりが広がることも期待できます。少なくとも、地元に残って働いている若者にとっては、地元であっても知らない同級生との接点があるだけで、その後の人生が変わることもあり得ます。

こういうアイデアに対して「行政が結婚という人のプライベートな領域に介入していいのか」などと憤慨するリベラルな学者などがいますが、別に同窓会の支援そのものは結婚の強要でもなんでもない。その先に結婚があるかどうかは本人次第であり、それよりも地元に残り、地元を愛する者同士の接点をお膳立てしてあげることは地方の行政においては意味のあることだと思います。

少子化は婚姻の減少であることは明らかであり、婚姻数を増やして第一子の数を増やさなければどうにもならない。その意味で、子育て支援一辺倒の国の少子化対策よりはよっぽど地に足のついたものであり、「独身の支援」という視点が各行政に広がっていくことを期待します。

カップル
写真=iStock.com/chachamal
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「お膳立て」がなければ婚姻数は増えない

また「地方の地元同士の新たな交流拠点の開設」としてのこういった政策は、地元の活性化という視点でも有効です。恋愛強者にしか恩恵のないマッチングアプリ事業に予算を使うよりはよっぽど意義があります。

しかし、そのためには、たんに同窓会に補助金を出して終わりということではなく、対象の拡大やコンテンツの企画など「ひとつの祭り」と同様に真剣に考えていく事が重要となります。学校だけではなく、地元の企業とも連携した「○年同期会」というやり方があってもいいでしょう。

若者の恋愛離れなどと個人の価値観の問題にして大人たちが逃げているうちは、いつまでも婚姻減に歯止めはかけられません。もちろん、結婚したくない人に強要などしなくてもいいし、そんなことは今のご時世できるわけもありませんが、お膳立てくらいは用意してあげるべきでしょう。

現実に「結婚したいのにできない」という不本意未婚は20代で4~5割も存在します。地方における婚姻率の低下は単純に地方の人口流出に依存するものであり、出会いのきっかけがないことにもよります。皆婚時代の今の還暦以上の世代もなんだかんだ周囲のお膳立てがあったおかげではなかったでしょうか。

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