店の名物「大きな木製メニュー」をなくしたが…

店名のように、長年、お客さんに“ちょっとびっくりしてもらう”取り組みを進めてきた。食材へのこだわりだけでなく、外観や内装もそうだ。

全店舗343店のうち、「直営店が130店:FC(フランチャイズチェーン)店が213店」と聞くが、特に西日本のFC店はFCオーナーの意向で、テーマパークのような外観も多い。

また、店内は木質材やアンティーク小物などを駆使し、ボックス席が中心だ。かつては「おもちゃ箱をひっくり返したよう」と言われた。

現在は、

① 緑の壁紙(自然のイメージ)
② ウッディーな造り(手づくりの温かいイメージ)
③ くつろぎ(どこか懐かしい装飾品)

という3テーマに基づく。随所に、ちょっとびっくりは健在だ。

なかでも、店の象徴ともいえるのが大きな木製の扉(観音開き)型メニューだ。このメニューで注文した人も多いだろう。

最も多い時で全国の320の店舗で導入されていた。だが、最近はタブレットでの注文(同社はテーブルトップオーダーと呼ぶ)に切り替えている。

「タブレットは2020年に南池袋店(東京都豊島区)に導入したのが最初です。主な目的は利便性向上で、席に座ってから料理が届くまでの時間が圧倒的に早くなりました。お客さまからは『オーダー時に店員さんが来るのを待たなくていい、細かい注文がボタンひとつですむ』『トッピングやご飯の量変更、追加オーダーなどがしやすい』という声も寄せられています」

アレフのFC店舗運営部部長の堀さん
プレジデントオンライン編集部撮影
アレフのFC店舗運営部部長の堀さん

店側の考える便利とお客の便利が同じとは限らない

こう話す堀さんだが、「木製や紙のメニューからタブレットへ完全に切り替え」とはいかなかった。

「好評の声の一方で、『木製や紙のメニューのほうが見やすく、みんなで選びやすい』や『びっくりドンキーならではのドキドキ・ワクワク感が減った』という声も寄せられたのです。DX(デジタルトランスフォーメーション)はお客さまの便利のために行っていますが、私たちの考える便利とお客さまの便利が違っていたら、すぐに変更するべきだと考えています。そこで改善に乗り出しました」(堀さん)

一度は撤去した紙のブックメニューを、タブレット機器の近くに置くようにしたのだ。現在、タブレットの導入店では、すべての席で紙のブックメニューを設置している。

「注文時にタブレットに『人数』を入れると、おなじみの木の扉が開きメニューが出てくるなど、びっくりドンキーならではの遊び心も用意しています。まだタブレットは全店の約3割にしか導入されていませんが、一度体験していただければ幸いです」(同)

店舗に置かれているタブレットとメニュー
プレジデントオンライン編集部撮影
店舗に置かれているタブレットと紙のメニュー