配達員に優しい、置き配や宅配ボックス

ここからは、EC・通販、あるいは個人間売買を利用する消費者が、配達員に優しく、かつ社会にも優しい配達を実践するための具体策を紹介する。

その1つが、置き配や宅配ボックスなどの利用促進である。

Amazonの「置き配指定」画面。宅配ボックスや玄関、車庫などの選択肢から選べる

玄関先などに荷物を置く置き配や、宅配ボックスは、以下のメリットを持つ。

・消費者が直接荷物を受け取る必要がない。
・配達員にとっては、配達スケジュールの中で都合の良い時間に配達できる。

また、ここで言う宅配ボックスとは、自宅に設置した宅配ボックスだけでなく、共同住宅における共有の宅配ボックスや、「PUDO」(ヤマト運輸)や「Amazonロッカー」など、商業施設、駅、コンビニなどに設置された公共型の宅配ボックス、あるいはコンビニエンスストアでの荷物受け取りなども指す。

Packcity Japanが運営する、オープン型宅配便ロッカー「PUDO」
画像=プレスリリースより
Packcity Japanが運営する、オープン型宅配便ロッカー「PUDO」

置き配は盗難リスクが懸念されているが…

ただし、置き配や宅配ボックスにも課題はある。

・置き配に関しては、盗難の可能性がある。また、「何を購入したのか?」というプライバシーや、氏名・住所といった個人情報が、近隣住民に知られてしまう可能性がある。
・宅配ボックスが満杯で、なかなか荷物が受け取れないケースがある。
・冷凍冷蔵食品などに対応できる宅配ボックスは、まだごくわずかしかない。

なお、置き配における盗難リスクについては、以下のレポートを紹介しておこう。

・セイノーHDグループのLOCCOとTポイント・ジャパンが2022年5月に発表したレポートによると、2021年1月から2022年3月の間で実際の「盗難」や「紛失」などによる盗難保険の適用率は0.0008%。つまり、置き配でトラブルに遭遇するのは10万件に1件未満。
東京都消費生活総合センターによれば、同センターに寄せられた置き配による盗難・誤配トラブルの件数は、2019年:104件、2020年:375件、2021年:298件。

ちなみに、2022年度における宅配便取扱個数は、50億588万個だった。ちなみに、この中に、Amazonやヨドバシ・ドット・コム等で、ヤマト運輸、佐川急便、日本郵便などの宅配便事業者に頼らず、自前で配達を行っている個数は含まれていない。

少なくとも今までのところ、置き配による盗難リスクは、決して高くはないと言えよう。