投資できる人とできない人の格差が拡大する

若年層でも毎月一定額を投資に回せる人は決して多くない。給与水準が低すぎるのだ。20歳代の4割近くが貯金ゼロと見られている。全世代では単身者の33%、2人以上世帯の22%が貯蓄がないという調査もある。つまり、投資に回したくてもそんな余裕はない、という人たちが国民のかなりの割合を占めているのだ。

仮にそれ以外の人たちが毎月3万円の投資を行い、30年後に数千万円の金融資産を保有しているとして、まったく資産を持てずにいる人との格差は壊滅的に大きい。今後、進むと想定されるインフレ経済では、低収入の人たちの生活費の負担が大きくなる。ますます投資どころか貯蓄もできない、という人が増えかねないのだ。

結局、ここでも、岸田首相が言い続けている「物価上昇(インフレ)を上回る賃上げ」が実現するかどうかが大きな焦点になる。

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