先駆者と現実主義者の間にある大きな谷

Q:顧客が新商品をなかなか買わない本当の理由を教えてください!

<お答えしましょう!>

革新的な製品が大好きな少数の人たちと、現実主義の人たちの間に「キャズム(大きな谷)」があるためです。

「顧客が求める画期的な新商品を売り出せば、絶対売れる」と思いがちですが、現実にはほとんど売れないことも多いものです。それはなぜでしょうか。

画期的な新製品が販売され始めたとき、消費者の特性によって様々な反応があります。電気自動車だとすると、「誰も乗ってないから買いたい」という人はイノベーター(革新者)とアーリー・アドプター(先駆者)です。

「充電ステーションが街中にできたら買う」という人はアーリー・マジョリティ(現実主義者)で、「今のガソリン車が不便になったら買う」はレイト・マジョリティ(追従者)、「わけのわからない車には絶対乗らない」という人はラガード(頑固者)です。

新製品はこの順番で普及していくのですが、各グループの間には隙間があり、そこで止まると売れません。

キャズムを越えなければ16%の人にしか売れない

先駆者と現実主義者の間の特に大きな隙間を「キャズム(大きな谷)」と呼びます。

キャズムを越えなければ、16%の人にしか売れません。冒険好きな先駆者と違い、現実主義者はリスクが大嫌い。そこで、必要なことをすべて提供する「ホールプロダクト」が必須になります。EVならば、どこでも充電できる環境を整え、パーツを気軽に買えるようにし、修理なども普通の整備工場に頼める、などです。すべてのリスクを消した上で、ユーザー事例を提示できれば、ようやく現実主義者以降のグループにも商品が普及していきます。

KEYWORD:ホールプロダクト
ジェフリー・ムーアが提唱。ホールは「完全」の意味があり、完全な機能に近づけるよう製品の補助製品や補完サービスをそろえていくモデル。