葬儀業には届け出や登録制度はない

【事例3】葬儀社の広告には「34万から」と書いてあったのに……

葬儀サービスで目立つ相談は「希望とは違う葬儀になってしまった」「想定より高額になった」といったものです。40歳代女性からの相談を見ていきましょう。

女性は家族が亡くなる少し前に、インターネットで業者を探しました。「34万円から」との表示を見て、やり取りを始めました。すると、業者から安いプランではオプションがつかないと言われ、高額なプランを勧められました。女性は急いでいたので、勧められた200万円のプランで契約しました。
葬儀自体は豪華なものではありました。しかし、終わってから冷静に考えると不信感が募りました。説明が強引な印象もあったので、消費生活センターに相談しました。(2023年12月相談受付)

聞くと驚くかもしれませんが、葬儀業には認可制度どころか、届け出や登録制度もありません。誰でも始めることができるので、中には電話一本で取次ぎ、斡旋を行っている葬儀ブローカーもいます。葬祭業に関わる事業者は4000~5000社とも言われています(第37回消費者契約法専門調査会「葬儀業界の現状」2017年4月28日)。広告を頼りに探す場合、この玉石混交の集まりから1社を選び抜かなくてはならない状況に追い込まれます。

複数社に見積もりを取る余裕はなかった

しかも、葬儀社を選ぶ際には時間がないことがあります。筆者の経験では、夜10時に家族が病院で亡くなり、翌日の朝には遺体を引き取らなくてはいけませんでした。複数社に見積もりを取るなどという余裕はまったくありません。対面でしっかり説明を聞く時間もありません。電話口での説明だけで契約先を決めざるを得ませんでした。

となるとトラブルに遭わないためには、時間があるときに事業者選びをした方がいいということになります。事前相談窓口を設けている事業者もあるので、相談をしてみて、ていねいに対応してもらえるか確認してみるのも一つの方法です。とはいえ、元気なうちから行動する気は起きないという人もいるでしょう。

筆者も同様です。ですので知人の葬儀に参列したときに、いい葬儀だなと思ったら葬儀社の名前をメモしています。聞ける間柄であれば、落ち着いた頃合いを見計らって、喪主に料金や評判を聞いておくなどもしています。知り合いからの口コミ情報は、案外、役に立つものです。

喪服を着て数珠を持つ手を合わせる人
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

「全葬連」が自主基準やガイドラインを設けている

しかし、めどが立っていないうちに不幸が訪れることもあるでしょう。葬儀業には直接管轄する法制度はありませんが、経済産業省の認可を受けた唯一の葬祭業専門団体である全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)が、消費者利益の保護のために自主基準やガイドラインを設けています。

ここでは「見積書を交付する」「商品目録と価格表は必ず提示する」「パックやセットで提供する場合は構成内容および料金を明記する」といったことがルール化されています。ただし、ニッポン消費者新聞によると全国組織率は50%に満たない(※)ため、守らない業者があることは事実ですが、事業者選びの参考にはできるでしょう。

※ニッポン消費者新聞「安心で納得できる葬儀を 急がれる葬儀環境の整備 横行する誇大なネット広告 不当性目立つ勧誘行為 事業者届出制度の導入待ったなし 全葬連が働きかけ」2024年1月1日

同団体は「良い葬儀社、悪い葬儀社の見極め方」との動画も出しています。パンフレットや価格表を求めても「葬儀というのは特殊なものですから、そういったものはないのが業界の常識なんですよ」と横柄な物言いをするなど、トラブルになりやすい“悪い葬儀社”の特徴がわかりやすく説明されています。こういう業者との契約は避けたほうがいいでしょう。

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