本店営業第二部 上席部長代理 
岡安正利 

1970年、群馬県生まれ。92年、法政大学経営学部卒業後、さくら銀行(現三井住友銀行)入行。花小金井支店、新宿新都心支店などを経て、2001年より現職。一貫して法人営業畑を歩む。

銀行の法人営業に求められるのは、顧客の多様な要望への対応と、ニーズを先回りした提案である。そんな提案型営業を日々手がける岡安正利さんの秘密兵器は、ぎっしり書き込まれたリフィルで分厚く膨らんだシステム手帳だ。

メモ欄には、顧客との議事内容を電話・面談とも記録。別のページには情報管理に必須となる「顧客番号リスト」や、仕事に関連する新聞記事のコピーを貼り付けるなどし、「これさえあれば当面の仕事が進められるように」、必要最小限の情報を1冊に凝縮している。

スケジュールとタスク管理は、システム手帳ではなくA5サイズのダイアリーを使う。アポイントはすべてこちらに書き込むが、客先を訪問するときは、訪問時刻だけでなく、出発時刻と帰社時刻も合わせて記入するのがミソ。タイムテーブルが明確になり、より効率的に時間管理ができるようになる。

ToDoリストも同じくダイアリーに記入し、終わった分から消し線を引いて漏れが出ないようにする。「若い頃から効率的な仕事を心がけていました。一つ一つの業務を短時間でこなせば、多くのことを経験できますから」と岡安さんは語る。

職務上、顧客情報を記載した書類の社外持ち出しは厳しく制限され、手帳も例外ではない。そこで、客先に向かうときは、A4サイズのノートパッドのみを持参して面談の内容を記録するのに使う。記録したページは帰社してから一枚ずつ切り離し、顧客別に分類してファイリングしていく。

「顧客とのやりとりを記録した手帳とファイルには、ときどきまとめて目を通します。すると話し合いの内容や問い合わせのあった日時がヒントになって、顧客の潜在的なニーズが見えてくる。それをもとに提案内容を組み立てるのです」と岡安さん。こまめに記録した内容はそのままにせず、折に触れ見直すことで活きてくるのだ。

出社直後の15分ほどで1日のスケジュールをさっと確認する。毎週金曜の夕方にはダイアリーを見直して、その週のToDoリストがすべて完了しているかを確認する。完了しなかった事項は翌週に再び締め切り日を設定して、転記する。

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大判のノートパッドは商談メモ(写真左)に、手帳(中)はスケジュールとタスク管理、システム手帳(右)は社内メモと使い分ける。ノートパッドと手帳は仕事関係者にもらったもの。

「面談の日程が合わずに先延ばしになったり、顧客の社内事情で予定が変更されることもしょっちゅうです。それでも準備なしで漫然と対応するより、あらかじめ情報を整理し、スケジュールを頭に入れておけば、予定外の事態が起きても、すぐ次のアクションがとれるのです」

部下の指導にも時間をとられるが、ここで自分のスケジュール優先という姿勢でいると、必要な報告はあがってこない。

「いつでも飛び込んできて、という姿勢でいますが、何かを頼まれたら『いつまでにやってほしい?』と聞くことにしています。締め切りを意識して仕事をする癖をつけてほしいので」

ちなみにダイアリーは「大口の取引では大安などの吉日を選ぶ顧客が多い」という理由で六曜入りのものを使う。仕事で関わる人々がどう動くかを予測しつつ、現実とすりあわせながら調停していく――。そんな仕事に手帳は強く貢献している。