試合観戦のチケットはメルカリで4万円に

ポケモンのキャラクターを使ったTCG「ポケモンカード」は、コミュニティ運営型の遊びである。

全世界で北米・欧州・アジアなど地域別にトーナメントが開催され、数十万人もの参加者から地域別チャンピオンが選ばれ、そこから2000人ほどのトッププレイヤーが招待される年1回の世界大会で世界一を決める。

2023年8月には1996年のポケモンカード発売以来初めて日本で世界大会が開催された。パシフィコ横浜に50カ国から2000人の選手が集まり、来場者は3日間で1万人を数えた。

入場チケットは異例の高騰を見せて、1日分の観戦チケットがメルカリで4万円で取引された。トーナメントに参加するのではなく、試合を生で見るための末席チケットが4万円である。驚きの人気過熱であった。

コミュニティへの参加者が増えれば増えるほど、そのコミュニティの価値は高まりブランド化が起こる。

カード1枚が7億円

2022年6月、人類史上で最も高額な「カード」が誕生した。527万ドル(約7億円)で購入されたのは、1998年にコロコロコミックスのコンテストで入賞者に贈られた「ポケモンイラストレーター」のカードで世界に24枚しか現存しないと言われる。

この歴史に残るギネスレコードを手に入れたのは、登録者2000万人をもつユーチューバーのローガンポールだった。

1995年に生まれポケモンカードで育った彼は、2021年ごろから何億円もかけてポケカを集めてきた有名なコレクターで、その半年前にも350万ドル(約5億円)で買ったカードが偽物だったというトラウマもありながら、その収集欲は全く衰えなかった。

なぜポケモンジェットを飛ばすのか

これほどのポケモン人気をリアル空間で持続させてきたところが株ポケの手腕である。

2005年には愛知万博の跡地を使って期間限定の遊園地「ポケパーク」を開設。コロナ期には苦境にあるエアラインにあえて話をもちかけ、ピカチュウジェットを飛ばした。スカイマークとの提携以来、現在5社7機が稼働している。

ポケモンジェットのイメージ
写真=iStock.com/SCM Jeans
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これはコロナ不況下の航空会社発のプロジェクトではなく、むしろ株ポケが持ち出しによって展開している施策である。

同社COOである宇都宮崇人の「能や歌舞伎のように世代を超えて続きながらも、最前線にい続ける」という言葉が象徴しているように、株ポケは仮想のキャラクターたちを「リアル」にすることにこだわり続けている。