「テレビの視聴時間」自体は減っているが…

こうした風潮の背景のひとつには、「テレビ離れ」があるだろう。

博報堂・メディア環境研究所の調べによれば、テレビの視聴時間は減っている。10年ほど前(2013年)には、全世代平均で1日151.5分だったのに対して、昨年(2023年)は135.4分まで減少した。

他方で、携帯電話・スマートフォンは、同じ期間に50.6分から151.6分、と、3倍近くに増えている。

ただし、広い意味での「テレビ番組」、動画コンテンツへの需要は根強い。

ボストンコンサルティンググループが行った調査によれば、「テレビデバイス」=テレビ受像機などを持つ割合は若い世代で低くなっているものの、動画配信サービスに移りつつある。

今回「炎上」した「水曜日のダウンタウン」は、民放公式テレビ配信サービスTVerでは常にバラエティランキングの上位にある。「プレジデントオンライン」でも、「朝ドラ」など広い意味でテレビに関係した記事がよく読まれているようだ。

「テレビなんか見ない」と言われながらも、多くの人が「テレビ番組」について気にしているし、心のどこかで「テレビの権威」を信じているのではないか。

松本人志氏が「最後に出演した回」

「テレビのロケが一度も来たことのない店」を探す企画で、「取材NGはノーカウント」のルールを設けた理由は、ここにあったのではないか。

「取材拒否の店」をテーマにした番組が10年も続くなかで、「テレビ離れ」は進行しているとはいえ、それでもやはり、みんな「テレビの権威」=取材されたほうが偉い、ととらえている。

「テレビの取材が来た」、とか、「テレビに出た」、と言われれば、なんとなく美味しいと思ってしまいそうになる。テレビによってお墨付きを与えられたような信頼感は、まだ残っている。

テレビ番組、特に夕方のニュース番組が、ほぼ毎日、グルメ特集を放送しているのは、その証拠だろう。見たい視聴者と、紹介してほしい店、その双方の需要が根強いとまではいかなくても、まだまだあるから、あれだけ大量に、飽きもせず続いている。

かたや、もはや「テレビの権威」と言われても誰も真剣にはとらえていない。「テレビ離れ」が進めば進むほど、その権威を疑うほうが「常識」に思われる。

お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志と浜田雅功(2014年12月3日、東京都千代田区)
写真=時事通信フォト
お笑いコンビ「ダウンタウン」の松本人志と浜田雅功(2014年12月3日、東京都千代田区)

今回「炎上」した企画は、こうした日本社会の「空気」そのものをネタにしようとしたのではないか。あえて自爆(炎上)覚悟で進む、そんなところに、「水曜日のダウンタウン」の狙いがあったのではないか。

などと書くと、この番組のファンとしての身びいきが過ぎるのかもしれない。

現時点では、松本人志氏が「最後に出演した回」が、同番組らしい、攻めた内容だったのは、せめてもの救いだったと信じたい。

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