行き過ぎた成果主義の果て

【デーブ】日本のサラリーマンってよくみんな茶化したりするけど、ある意味では自慢してもいい文化ですよ。だってアバウトで、あれひとつの文化じゃないですか。ほかの国ないですよ、アジアにはあるかもしれないけど。

【中野】でも若い人だと転職も増えてるし、特に人事や経理は専門性が高いからか転職も多いですよね。日本式の終身雇用続けるのか、欧米みたいに流動的になっていくのか、その過渡期ですよね。

【デーブ】成果主義とかになっていくんですかね。非常に冷たい雇用現場になりそう。

【中野】なりそうだけど、でもこの成果主義って、けっこうトリッキーなところがあるなと思ってて、成果ってそんなに測れます?

【デーブ】売上とかだけですよね。

【中野】うん、測れないですよね。成果を測るのって難しいので、その代わりに使われるのはレピュテーションなんですよね。

【デーブ】そうだね、評価っていうか、評判。

【中野】そう、となるとけっきょく、やっぱり接待がうまいやつとか、人間関係を作るのがうまいやつということになるかなって思うんですよね。

学歴が否定された結果、そっちがメインになってくる、取引先の誰それと親戚とか。成果主義、実力主義と言われるけど、アメリカだってもう、ネームドロッピング、ネットワーキング王国じゃないですか?

日本人は「所属」が大事

【デーブ】だったら大学で勉強するよりもカラオケのレッスンプロ雇って、玉置浩二とか歌えるようにしたほうがいいですよ。

【中野】今冗談で言ってると思いますけど、でも本当にそういうことだと思う。

【デーブ】そうすると、あの人呼べば盛り上がるぞって人が評価されるの。現金じゃんけんできるやつとか。あと仕切れるやつね、忘年会とか。

カラオケ用マイク
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【中野】私がもし社交性があったら、そういうとこでまず経理と仲良くなる。

【デーブ】僕だったら人事課。みんなの秘密知ってるから。人事課出世するってよく言われるよね。

【中野】人事と経理。その辺と仲良くなる。でもよくそこまで知ってますね、日本の会社。

【デーブ】面白いじゃないですか、サラリーマン。

【中野】すごいなと思って。ほんとに何か特殊工作員かもと思う。

【デーブ】何かの部品作ってるとか、一般に知られてないものすごく地味な会社でも、大手や有名な会社と並んでもプライドは変わらないじゃないですか、サラリーマン。

スーツの襟に社章? してるじゃないですか、会社のマークの。名刺とかも派手じゃないけども、出す時のあのなんというかな、誇らしさ、これ素晴らしいと思う。

【中野】所属しているということがなんだか日本ではすごく大事ですよね。

【デーブ】そうそう、所属好きなんですよね。どこか所属してないとダメ。だからテレビのADだって所属してるじゃない、制作会社。そんなの日本だけですよ。