奥野氏への支出をめぐって主張が食い違う

順風かと思われた「嵐山通船」だったが、X氏が社長に就任してから4000万円の累積赤字が積み上がっていることがわかった。結局、X氏は2020年4月に解任された。だが、金庫にも通帳にも一銭もなく、新しい鵜小屋の建設費1億円超を会社の不動産を担保に借りていたため、銀行から「このままだと取引を中止する」といわれ、X氏を京都地裁に訴えることにしたと、現社長の小島義伸氏はいうのである。

証拠として提出された「帳簿」には、京都市長や知事、警察関係者らとの高額な飲食代が記されているが、

「帳簿で目立つのは、奥野氏に対する多額の支出だ。視察旅行などの旅費や飲食費に加え、奥野氏が鵜飼協会の副理事長だった十八年四月から十九年三月まで、毎月約二十万円を『奥野卓司 鵜飼研究費』などの名目で支出したとされている」(文春)

これについてX氏は裁判でこう説明したという。

副理事長でも無償とはいかないから、奥野氏に相談したら20万円ほしいといわれた。だが領収書は出せないというので、研究費という名目で現金で渡していたというのだ。

これに対して奥野氏は、裁判所に陳述書を提出して、「嵐山通船ではなく、協会からの役員報酬で月10万円」と主張して、X氏と対立しているそうだ。

「秋篠宮殿下に百万円を渡した方がいい」

これだけではなく、「店C 紀子妃殿下お土産5/12 18519円」「店D 悠仁親王プレゼント 5/18 37038円」、さらに「11/20 店D 秋篠宮様プレゼント(鵜飼船箱入り)18408円」というものまであるというのだ。

その上、2018年の帳簿には「5月28日 秋篠宮様へ 1000000円」と記されているそうだ。

2019年には「鵜小屋の建替」としても別に100万円が記載されているが、これについてX氏は、準備書面でこう主張している。

「一社(鵜飼協会)の名誉顧問に秋篠宮に就任頂く計画があり、サミット前に奥野氏に現金百万円を渡した。奥野氏から『秋篠宮殿下に百万円を渡した方がいい』とのアドバイスがあったからである」

サミットとは、2019年9月に嵐山で13年ぶりに開催された「全国鵜飼サミット」のことで、裁判で原告側の代理人が、「サミットに来てもらうためのというお話だったんですね」と尋ねると、X氏は「そうです」と認めている。

文春が、サミットの映像を確認すると、奥野氏が登壇して、

「(秋篠宮)殿下は大変鵜飼に関心を持っておられて、奥野君、是非とも調べてほしいとのことでありました」と述べ、サミットに来たいので調整してもらったが、皇嗣殿下になって忙しくなってしまったので、秋篠宮が皆さまによろしくお伝えくださいといっていたと、話している。

文春が、X氏が飲食した店や、紀子さんや悠仁さんへの贈り物を買ったとされる店に確認すると、おおむね事実であることが判明したという。