三菱自動車の軽自動車「デリカミニ」が好調だ。自動車ライターの大音安弘さんは「競合車と比べ、高い走行性を持ちながら室内は広々としている点が評価されたのだろう。三菱の看板車種『デリカ』の名に恥じない車だ」という――。

軽自動車市場で存在感を示した「デリカミニ」

ダイハツ、スズキ、ホンダなどが厳しい戦いを続ける軽自動車市場で、存在感の薄い三菱自動車だが、今年5月に発売した新型軽スーパーハイトワゴン「デリカミニ」が健闘している。

発売前日までに、三菱自動車としては異例の約1万6000台を受注。これは月間販売目標2500台の6倍を超える数字だ。2023年11月はデリカミニとeKシリーズ合算で4927台を販売し、軽乗用車ランキングの10位に入った。このうち3901台がデリカミニなのだ。

これは三菱の最新軽乗用車の中では、ダントツトップのセールスであり、今年4月~9月までの登録台数では、三菱軽乗用車全体の約61%を占めるほど。

ちなみに、従来型に相当するeKクロススペースの累計販売台数が3万1377台に対して、デリカミニは、デビューの今年5月から11月で、累計販売台数は1万9256台に達している。

さらに、今年12月10日には「2023-2024日本カー・オブ・ザ・イヤー」において、秀でた内外装デザインを持つクルマを選出する「デザイン・カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。三菱自動車がこの賞を受けるのは初めてだという。

「軽スーパーハイトワゴン」+「SUV」

三菱自動車の最新軽乗用車である「デリカミニ」は、近年、軽市場でも人気が高まっているSUV風味の軽自動車だ。同車には、三菱が得意とする悪路走破性の高さを武器とした国産唯一のクロカン系ミニバン「デリカD:5」の名を受け継ぐべく、軽スーパーハイトワゴンに、SUV風味のデザインや機能を与えた。

まずエクステリアだが、力強い顔つきのフロントマスクに加え、ゴツゴツしたデザインのバンパー、リヤ周りやボディ下部をブラック塗装などのアクセントで、SUV風に仕上げている。

ルーフレールもSUV感を演出するパーツだが、スキーやルーフボックスなどを積載する際のベースとなる機能部品でもある。もちろん、軽らしい親しみやすさや愛らしさもデザインには盛り込まれている。

アウトドアシーンでの機能性を高めるべく、インテリアは汚れや傷が目立ちにくい黒色のみ。シートには汚れが付きにくい撥水加工を施し、折り畳める後席のシートバックとラゲッジスペースは、荷物を積載した際に汚れが付着しても拭き取りやすい素材を採用している。

インテリアは黒で統一
筆者撮影
インテリアは黒で統一

キャンプなどアウトドアシーンでの未舗装路での走行も意識し、滑りやすい路面でのスムーズな発進を助ける「グリップコントロール」や下り坂で車速を一定に保つ「ヒルディセントコントロール」などのSUV的な機能も備えている。

特にアクティブユーザーを想定した4WD車では、165/60R15サイズの大径タイヤと専用ショックアブソーバーを装備。荒れた路面や未舗装路での乗り心地と走行安定性を高めたという。また大径タイヤの恩恵として、最低地上高も+5ミリの160ミリまで拡大された。