「究極の自由人」天才数学者カントールの大発見

自然数の無限、偶数の無限のような「数の無限」を研究した草分け的な数学者がいます。その人こそ、“究極の自由人”ゲオルグ・カントールです。

彼は当時の保守的な数学界にありながら、自由に振る舞い、自分の道を突き進み、ゼロから新しい数学を築きあげました。

そのカントールがたどり着いたのが、数学界でタブー視されていた無限の世界だったのです。

彼が最初に取り組んだのは、先ほどお見せしたような無限どうしの比較でした。自然数と偶数はどちらも同じ大きさでしたよね。

カントールは次に、無限に存在する「有理数」の個数について考え始めました。

皆さんは有理数を覚えていますか? 有理数は簡単に言うと、分数で表せる数のことです。たとえば、21/20、6/5、3/2、7/4などです。

さて、これらの分数を小数で表すと、次のようになりますね。

21/20=1.05、 6/5=1.2、 3/2=1.5、 7/4=1.75

何かに気づきましたか? そうです。この分数はどれも1より大きく2より小さい数なのです。

このことから、自然数の個数と有理数の個数を比べたら、有理数の方が圧倒的に多そうですよね。

「有理数」と「自然数」の個数は同じ

では、自然数と偶数のときのように、自然数と有理数をひとつずつ結んでいきましょう。

と言いたいのですが、有理数は一筋縄ではいきません。というのも、自然数1と結びつける有理数を決めるのが難しいからです。

偶数のときは、自然数1と偶数2を結びつけました。これは、0の隣の偶数が2だからです。

では、0の隣の有理数はいったい何なのでしょうか? 1/100でしょうか? ですが、それよりも1/1000の方が0に近いです。そして、1/1000よりも1/10000の方が0に近いでし、1/100000の方がさらに0に近いです。

つまり、どれだけ0に近い有理数をもってきても、それよりさらに0に近い有理数が存在するので、自然数1と結びつける有理数を決めるのは難しいのです。

そこで“究極の自由人”カントールは次のように、非常に巧みな方法で有理数を並べ、自然数とジグザグに結びつけたのです(1と1/1、2と2/1、3と1/2、4と1/3、5と3/1、……と結んでいく)。

【図表2】有理数をジグザグに結ぶ
出所=『笑わない数学

このようにして、表をジグザグに進んでいくと、すべての有理数が、自然数と1対1で結ばれます!

なんと、有理数の個数も、自然数の個数に等しいことがわかりました。