炭水化物をタンパク質に置き換えるのは大変

「それならば、たんぱく質をたくさん食べればよいのでは。炭水化物は太るからとりたくないし……」と思われるかもしれません。結論からお伝えしますと不可能ではありませんが、実行するのはなかなか大変です。

たんぱく質と炭水化物は、どちらも1グラムあたり約4キロカロリーです。

私たちが食べている炭水化物の代表例はごはんです。ごはん茶わん1杯は、少なくて120グラムくらいで、一般的には150~200グラムくらいです。

例えば、みなさんがごはんと一緒に、肉や魚、卵、豆製品を主菜として一日三食食べているとします。「炭水化物を食べたくない」とごはん(150グラムで約234キロカロリー)をたんぱく質に置き換えるとなるとどうなるでしょう。

カロリーの計算上は、毎食、主菜(肉や魚)とは別に肉や魚などのたんぱく質源となる食品を食べなければいけません。主菜以外に追加で食べる一食あたりの量は、和牛サーロインであれば約50グラム、鶏むね肉なら約180グラム、納豆なら約3パック、卵なら約3個です。

タンパク質を含む食品
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100歳まで使える筋肉を減らしてしまう

もちろん、たまに外食で焼き肉食べ放題で肉ばかり食べたり、旅先で海の幸をたらふく楽しんだりは可能でしょう。ただ、これを毎日、一日三食、主菜に追加する形で食べる生活は、肉体的にもお財布的にもなかなかつらいのではないでしょうか。

その上、炭水化物の摂取量が少ないと、炭水化物に含まれる食物繊維も減ってしまいます。腸内環境の悪化につながります。

炭水化物を控えて、低糖質、主菜中心の「低糖質ダイエット」の食事がせやすいのは、そもそも肉や魚ばかりをたくさん食べることが難しいからともいえます。つまり摂取エネルギー量そのものが減りやすいということも影響しています。

中高年になると「腹も出てきたし、ごはんを徹底的に控えよう」と極端に減らす方もいますが、炭水化物が少なすぎる食事はもろ刃の剣です。短期的には痩せるかもしれませんが、腸内環境が悪化し、人生100年時代を元気に生きるために重要な筋肉を分解して減少させます。

炭水化物(糖質)が少なすぎる食事は、あまり良い選択とはいえません。