常温でも、開栓した後もしばらく腐らない

コーラには砂糖のようなバイ菌のエサがたくさん入っています。バイ菌が繁殖しては困るので、コーラなどの炭酸飲料には、腐敗防止のためにリン酸やクエン酸のような強めの酸をわざと加えてあります。つまり、コーラの酸性は、炭酸のせいではなく、添加したリン酸やクエン酸のせいです。

リン酸やクエン酸は蒸発しないため、気が抜けたコーラ(もう大半の炭酸は蒸発してしまっています)でもpHは3以下のまま、強い酸性を維持し続けています。よってコーラは開栓して1週間放置しても、ずっと酸性が強いままです。

この添加した酸があるからこそ、コーラは砂糖を含んでいるにもかかわらず常温で保存しても長期間腐らず、開栓後もしばらくの間は腐らないのです。なお、「ウィルキンソン」には砂糖のようなバイ菌のエサは入ってないので、理屈ではバイ菌が混入しても繁殖できません。

さすがに骨は溶けないが、歯は溶ける

実際に私も学生たちと一緒にpHの測定実験をしたことがあります(以下、数値はpHの平均値)。大学内の生協売店で買ってきた「コカ・コーラ(3本)」は開栓直後2.43で、開栓1週間後は2.38とほとんど変わりませんでした。一方、「ウィルキンソン(3本)」は初日4.30、開栓1週間後5.00でした。開栓1週間後に飲んでみると、どちらもほぼ完全に炭酸が抜けていました。

この実験結果のポイントは次の2つで、どちらもコーラに添加してある蒸発しない強い酸(正体不明、おそらくリン酸か?)のせいです。

・両者の酸性度には大きな差があった
・1週間放置してもコーラの強い酸性はほとんど変化しなかった

このようにコーラは酸性度が強いので、コーラを飲んだあと、その飲み物が口腔こうくう内に残っていると、その強い酸により歯を痛めます。これは「コーラを飲むと骨が溶ける」という都市伝説発生の原因でしょう。骨は溶けませんが、歯は溶けます。「コーラを飲むと歯が溶ける」は正しい文章です。ということで、コーラのような強い酸性炭酸飲料を飲んだあとは歯を守るために口をゆすぐようにしてください。

なお、ポンジュースのような柑橘系の100%ジュースは柑橘の絞り汁自体が強い酸(pHは3~4)なので、リン酸などは加える必要はなく、実際に加えてありません。