AIはどのように使いこなせばいいのか

1.「引いて考える」ことで本質が見える
2.アイデアなどの創造性は異なるものの「組み合わせ」から生まれる
3.新しい挑戦での失敗を恐れる人が大多数
4.自分の「仕事を減らす」挑戦なら失敗しても誰にも迷惑はかからない
5.自分のことで「試す」ができれば創造性は少しずつ高まっていく
6.生成AIは人類の誰よりも知識がある
7.生成AIから新しい「組み合わせ」を導き出すプロンプトを与える(人工知能)
8.生成AIには知識を求め人は異なるものの「組み合わせ」を考える(拡張知能)
9.導き出した新しい「組み合わせ」を「試す」ことが重要

人間と生成AIを比較すると、獲得した知識は生成AIのほうが多い。

たとえばアメリカを代表する医療機関メイヨークリニックが提供する生成AIや、世界的な法令データサービス企業のLexisNexisが提供する生成AIは、医師や弁護士の仕事を支援するツールだ。ただ、AIに学ばせた専門知識の量が医師や弁護士を圧倒するレベルなので、当然ながら彼らの仕事を奪う可能性すらある。

環境に最適化しすぎている人は立場を失う

AIはあらゆる仕事に使われるだろう。そうすると、その会社でしか通用しない知識やスキル(ファーム・スペシフィック・スキル)は真っ先に意味をなさなくなる。なぜなら生成AIは、各企業固有のデジタル化され蓄積された知識と瞬時に連携(LlamaIndex,LangChainなどを使う)できるからだ。これはつまりベテランが蓄積した知見の多くが標準化され、新人との差がなくなることを意味する。

これを「引いて考える」と、会社が用意したテンプレートやしくみがあるからできる仕事をこなしている人が真っ先に立場を失うことがわかる。転職市場でも、それまでの価値を保てなくなってしまう。

野球やサッカーでチームを移籍したとたん通用しなくなる選手はよくいるが、移籍前のチームに最適化しすぎて、どこでも通用するスキルを身につけ損ねたのではないかとも考えられる。

以前、仕事ができる人だろうと考え、ある大手企業の社員を採用したことがある。彼は問題が起きると「前の会社ではこうやってきた」とばかり言って対応できなかった。つまり彼には前の会社でしか通用しない知識やスキルしかなかったのだ。関西のグローバル企業だったが、会社の名前で生きてきたのだろう。