老後を幸せに生きるにはどうすればいいか。浜松医科大学名誉教授の高田明和さんは「年を取り、何もせずにいると孤独を感じるようになる。そのため時間を埋めるために何かをしようとするが、貪欲に陥らないように注意すべきだ。かつて孔子が『満ちて覆らないものはない』と述べたように、『満ちた』『できあがった』と思ったらダメになるし、得たものも失うことになる」という――。

※本稿は、高田明和『孤独にならない老い方』(成美堂出版)の一部を再編集したものです。

ベッドに座る孤独な男性
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下界と遮断された空間に長くはいられない

天国に一人でいたら、これより大きな苦痛はあるまい。

小説家 ゲーテ

死ぬということはどういうことなのでしょうか。

誰にもわかりません。ただ、人々にもう会えなくなることだけは確かです。

それについて、私は次のように考えることがあります。

絶海の孤島に、豪華クルーズ船も顔負けの施設が完備した巨大ビルがあります。世界中の料理と美酒が食べ飲み放題です。ショーや音楽などを楽しめ、ジムやプールで運動ができ、邸宅のような居室でくつろげます。

ただし、外界とは遮断しゃだんされています。出ることはできず、外の情報を得たり、情報を発信したりはできません。

死が近づいた時、神様から、「このビルに入れば少し長生きできるが、行くか? ただし、ビルから出て現世に戻れば、これまでの記憶を失い、現世で築いた人間関係から財産や業績まで、すべてゼロになる」と聞かれたら、どう答えるでしょう。

「行く」を選んだ場合、最初はビルの生活を大いに楽しむでしょう。しかし、時がたつにつれ、毎日会う人もやることも同じという生活に退屈してきます。

ついには神様に、「財産も業績もいらないし、他人が私のことを一切知らなくてもよいです。長生きも求めません。現世に帰してください」と願うに違いありません。