生きたダニは水洗いをしても生き残る

では、寝具のダニ対策はどのようにしたら良いのでしょうか。

寝具のダニ対策として定番なのが、「布団の天日干し」や「布団を叩く」行為だと思います。しかしこの対策、実は生きたダニへの駆除効果は薄いのだといいます。(アース製薬 Danny「およそ8割が勘違い! 間違ったダニ知識とは?」2017年8月10日)

対策として、まずはダニの生態を理解する必要があります。ダニは「気温25℃以上、湿度60%以上で繁殖」し、「乾燥と高い温度にさらすと死滅」という特徴があります。生きたダニは水洗いでも生き残り、掃除機がけだけでは吸い切れない可能性があります。そこで、熱や乾燥に弱い性質を利用し、布団乾燥機を使用します。布団乾燥機で生きたダニを駆除した後に、こまめに掃除機をかけることで、死骸やフンを取り去るというプロセスが有効です。しかし、同じくアース製薬の調査では、布団乾燥機を使用した適切なダニ対策を行えていた人はわずか12.9%で、正しいダニ知識・対策ともに十分に浸透していないことが伺えます。

他にもカーペットにもぐりこんだ生きたダニは掃除機では吸い取りきれない場合も多く、アレルギー症状がひどい場合は買い替えも検討することをお勧めします。

暖色系のランプがともる寝室
写真=iStock.com/Viacheslav Peretiatko
※写真はイメージです

耳鼻科で相談できる「ダニアレルギー舌下免疫療法」

対策を十分に行ってもアレルギー性鼻炎の症状がひどい場合、ダニアレルギー舌下免疫療法が有効です。

ダニアレルギー舌下免疫療法とは、ダニ抗原エキスを舌の下に投与し、少しずつ体内に吸収させることによりアレルギー反応を弱めていく治療法で、5歳以上のダニアレルギーの方に、通年で開始することが可能です。

たとえば、ダニアレルギー舌下免疫療法の薬剤で治療した場合、8割前後の方に有効性が認められています。(日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会「鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン―通年性鼻炎と花粉症―2023年版(改訂第10版)」2020, p. 62-65, ライフ・サイエンス, 東京)

舌下免疫療法の効果は、鼻や目のアレルギー症状を抑えるだけではなく、他のアレルギー疾患にもかかりにくくなることがわかっています。ダニアレルギーでお困りの方は、一度耳鼻咽喉科に相談してみましょう。