ダニアレルギーは秋にひどくなる

続いて、「ダニアレルギー」についてお話しします。

ダニアレルギーは、日本ではスギ花粉症の次に患者数が多いアレルギー疾患です。アレルギー性鼻炎のアレルゲンとして最も多いのがダニとハウスダストで約60%、次いで花粉が30%、カビ(真菌類)が約10%以下と言われています。〔杉山正夫、西本明美、中井義明ほか「寝室のダニ数とダニ鼻アレルギー患者の臨床症状とその対策」生活衛生:35 ,58-68(1991)〕

暑さが和らぎ過ごしやすい気温になると、家の中のダニアレルゲンの量が1年で最も多くなるといわれています。ダニは気温25℃、湿度60%になると急激に増え、梅雨から夏にかけて一気に増殖します。秋になると死ぬため生体の数は減少しますが、ダニの死骸や糞が大量に蓄積され、ハウスダストの主成分となります。そのため、ダニアレルギーはダニが活発に活動する夏よりも、糞や死骸が舞う秋によりひどくなるのです。

ちなみに、ハウスダストアレルギーとは、室内のほこりによるアレルギーの総称です。室内のほこりには、ダニ、ペットの毛やフケ、ゴキブリ・ガなどの昆虫、カビなどが含まれます。中でも主なアレルギーの原因はダニであるといわれており、ハウスダストアレルギーの方にも、ダニ対策が非常に重要になります。

目薬をさす女性
写真=iStock.com/maroke
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寝具にはダニが増殖する条件が揃っている

ダニアレルギーによる主な疾患は、「気管支ぜんそく」「アレルギー性鼻炎」「アトピー性皮膚炎」「じんましん」「アレルギー性結膜炎」などがあります。特に「小児ぜんそく」「通年性アレルギー性鼻炎」の原因の多くはダニアレルギーが占めているといわれています。

ダニは人間やペットのフケや垢、落ちた髪の毛などをエサとするため、人の生活と密着した場所に多く生息します。ダニが増殖する条件は、①エサがあること、②もぐれる場所があること、③適当な湿度(75%前後)、④適当な温度(25℃前後)です。人が1日の生活の約3分の1を過ごす寝具はダニの増殖する全ての条件が揃っており、家の中で最もダニの増殖が多い場所です。続いて絨毯/畳、フローリングの3箇所がワースト3と言われています。(東京都福祉保健局「健康・快適居住環境の指針 平成28年度改訂版」)