② 親の間違った教え方:「同じミスをするので叱る」

→間違いにこそ子供の個性が表れます

正解した解答というのは、どの子もほぼ同じ解き方です。そこに個性はありません。しかし、間違えた解答には、その子らしさが出てきます。

例えば、いつも7×6を48と計算してしまうなど、その子なりの癖があるので、間違えたことに対して叱っても萎縮して苦手意識が募るだけ。逆効果です。それよりも、その個性から根源的な原因をつきとめてあげることが大事です。

そのためにまずは、間違えた問題の横にかならず、間違えた理由を書いておいてください。

例えば、「7×6の計算間違え」など。小6の終わりくらいになれば自分でできる子もいますが、それまでは親が書いてあげるといいですね。それが20問、30問とたまってくると、どんな理由で間違えているのかがわかり、8割ほどは同じ理由で間違えていることに気づくと思います。

その根源的理由を洗い出し、気をつけていくように促してあげると、次第に苦手なポイントが消えていきます。

③ 親の間違った教え方:「小3で“つるかめ算”を教える」

→読解力が未熟なうちは、難しい文章題は逆効果

つるかめ算は中学受験の典型的な問題で、特殊算といわれるものの一つです。中学受験を少しでも有利に進めたいと、先取りして勉強させる親がいますが、つるかめ算のような文章題を小3で解かせるのは危険です。小3はまだ文章の読解力が育っていない時期。長めの文章題を解かせようとすると、問題文の内容を理解せずに、出てくる数字をいじって答えを出したり、解法を丸暗記したりするよくない癖がついてしまいます。

鶴と亀のイラスト
イラスト=iStock.com/Hachio Nora
※イラストはイメージです

中学で習う方程式や三平方の定理などを小学生に教えるなど、先取りさせたがる親もいます。しかし、それもかえって算数を不得意にさせてしまうことにつながります。計算の先取りはよいのですが、子供の発達段階に合わない先取り学習はよくありません。

ちなみに方程式や三平方の定理は、数学を解くうえでの“便利な道具”です。便利な道具を早くから与えてしまうと、自分で工夫する習慣が身につかなくなってしまいます。

算数では制限された道具しかないため、解くには工夫が必要です。だから、賢くなるのです。中学受験の算数はその最たるもの。少ない道具でどこまで考えられるかを問われます。

また、算数が好きになり、自発的に取り組もうとする原動力は、試行錯誤の末に答えにたどり着いたときの感動です。“便利な道具”はその感動も奪ってしまいます。

私の塾の授業では、小3の夏までは文章題はやらず、その代わり算数パズルをしています。ここでいう算数パズルとは、数字を組み合わせたり計算したりして解くパズルのことです。算数では、「ああでもない、こうでもない」と試行錯誤しながら、答えにたどり着く力が必要です。算数パズルには試行錯誤がたくさん詰まっています。書いては消し、書いては消しの連続で、自ら手を動かさなければ答えにたどり着かないところがとてもいいのです。

試行錯誤という意味では、工作もいいです。自分が作りたい物に向かってプランを立て、完成させるために試してはやり直す。その過程が算数の力も伸ばすのです。