議院内閣制のメリット

これに対して、議院内閣制のイギリスや日本では、こうはならない。

国会の場合、議員が経験を重ねて大臣になるので、与党の議員と内閣が利権で対立するようなことはない。

国会議員も選挙区の利益を大事にするが、自分の所属する党内で国全体の利益と調整できるようになっている。

ビッグベンとユニオンジャック
写真=iStock.com/RistoArnaudov
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自民党の場合、全議員が参加できる政務調査会がある。

私が大臣の時は、衆院が自民党、参院は民主党が多数派で、「ねじれ国会」で苦労したが、憲法の「3分の2条項」などで乗り切った。

フランスでは、大統領と首相が並立しているが、うまく「保革共存路線」で対応してきた。

地方行政がうまくいかないワケ

日本の自治体も大統領制で、首長と議会の「二元代表制」となっている。

首長も議員も、直接選挙で選ばれるので、正統性は同じである。議会は、予算を握っているので、安芸高田市の例のように首長に抵抗できる。

また、百条委員会という「首長攻撃手段」もある。

地方自治法第100条に定められた百条委員会とは、地方議会が必要に応じて設置する特別委員会で、正当な理由なく関係者が出頭、証言、記録の提出を拒否したときには禁錮または罰金に処すことができるようになっている。

議会は、これを武器にして、「辞任しないなら百条員会を設置するぞ」と恫喝するのである。まさに、政治的武器である。

さらに選挙区について言うと、自治体にもよるが、自治体全体から一人選ばれる首長に対して、議員は細分化された選挙区から選ばれることがさらに問題を悪化させている。