不動産業界の苦境は続く

中国も、日本と同じように低迷の30年、デフレの30年に突入するのであろうか。

日本の場合、バブルの崩壊は金融部門に大打撃を与え、不良債権処理に追われる金融機関の破綻が相次いだ。しかし、現在の中国では、大手国有銀行の自己資本比率は13〜20%と高く、また、不動産事業への貸し出しも全体の融資の6%である。これでは銀行はそう簡単には破綻しないだろう。

不動産開発業者の債務は、銀行からの借り入れよりも、建設会社などへの未払い金である。この点でも、日本のバブル崩壊と違う。

習近平が考えているのは、不動産開発企業を倒産させずに、マンション購入者に確実に物件を引き渡すことである。

ただ、「3つのレッドライン」という規制をこのまま続けていけば、不動産業界の苦境は続くであろう。

土地の販売収入を原資にしてインフラの整備を行ってきた
写真=iStock.com/Zhonghui Bao
土地の販売収入を原資にしてインフラの整備を行ってきた(※写真はイメージです)

累積債務2000兆円にも上る「融資平台」問題

中国の場合、大きな問題は地方財政である。先述したように、地方政府は不動産開発業者に土地(その使用権)を販売し、その収入を原資にしてインフラの整備を行ってきた。

しかし、不動産不況で予期した収益を得ることができず、債務が膨らんだ。累積債務は100兆元(2000兆円)にも上る。

中央政府は地方政府の債券発行を規制したが、地方政府は抜け道として「融資平台(資金調達プラットフォーム)」という投資会社を設立し、資金調達を続けた。「融資平台」は全国で1万社を超える。