都道府県庁の半分近くの仕事はムダ

イギリスの歴史・政治学者であるシリル・ノースコート・パーキンソン(1909~1993)は、その著作『パーキンソンの法則』で官僚組織の非合理性を指摘しています。官僚組織は肥大化していく特質を持ち、その「成長の法則」において、実際の仕事量に関係なく役人の数は増え続けていくものであると述べています。

要するに、放っておけば官僚組織はろくに仕事もせずに人数ばかり増えていくということです。聖域として守られ、長期間誰も手をつけることのできなかった中央省庁は、第三者によって組織全体の精査をする必要があると考えます。

市長を12年してきた感覚でいうと、市民のためにどうしても必要な市役所の仕事の量はそこまで多くなく、してもしなくてもいいことをしている面があります。都道府県の庁にいたっては、半分近くの仕事はムダなように思います。

ただ、私は「公務員を減らせばいい」という考えは持っていません。日本は人口に対する公務員比率は少ないので、国民をしっかりサポートするために必要ならば、公務員の人数は増やすべきだという考えです。

問題は公務員の人数ではなく仕事内容

大勢の人が暮らすこの社会の中で、公の仕事は欠かすことのできない重要な職種です。人類は独りぼっちで生きていける生き物ではなく、助け合いながら生きていかなければなりません。それを調整する公の機能として行政は不可欠です。ですから、当然そこで働く公務員もこの社会には必要な存在なのです。

今、問題なのは公務員の人数ではありません。官僚を含む公務員たちがしなければいけない仕事をせず、しなくてもいい仕事をしていることです。なおかつそのために湯水のごとく税金をムダ遣いしている点です。

私が市長になって以降、明石市のすべての仕事を見直して総人件費を削減しました。そしてその見直しが2020年くらいにほぼ終わったため、そこからは必要に応じて人数を増やしてさらなる市民サービスの充実を図ってきました。その結果、2020年を機に、明石市の人件費は少しずつ増加しています。