動物園の人気者・カバの知られざる素顔

のんびりとユーモラスに動くカバは、動物園でも人気の動物のひとつだ。だが、自然界で追い詰められると、予想外の攻撃性をむき出しにする。

水面から顔を出すカバ
写真=iStock.com/zulufriend
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アフリカの大自然のなかで、人間の半身を呑み込んだり、ボートをかみ砕いて多くの人を死に追いやったりといった事例が報告されている。ライオンを瀕死ひんしの状態にした事例もあるようだ。年間推定3000人を殺しており、大型動物としては最も多くの人間を死に追いやっているとする分析すら存在する。

今年5月にも、カバの恐ろしさを強調する事件が発生している。カバの突撃を受けたカヌーが転覆し、23人が行方不明となった。事件が起きたのは東アフリカのマラウイ共和国だ。

AP通信によると、37人を乗せたカヌーが隣国のモザンビークに向かうべく、シャイア川を南下していた。ところがカバの突撃を受けて転覆。1歳児が死亡し、23人が行方不明となった。24時間経っても発見されず、生存は絶望視されている。

英リーズ大学のロクラン・トレイル講師はワシントン・ポスト紙に対し、カバの危険性を強調している。アフリカにいるほかの動物よりも突出して死亡例が多いというわけではないが、「しかし、カバに攻撃され、噛みつかれたり踏みつけられたりすることで、人間が重傷を負う、あるいは死に至ることがあります」。

とくにカバの生息地となっている川や湖において、人間が養殖や釣りを行っている場合、カバの敵対心をあおるおそれがあるようだ。