市場が拡大している分野でどんなネットワークを築くか

しかし、日本の音楽シーンの歴史を長く見てみると、1960年代、1970年代、最大手の渡辺プロダクションから、当時の優秀なマネージャーが独立してアミューズやホリプロなどを立ち上げていることがわかる。

そして長らく、音楽マーケットが成長を成し遂げてきた。

まるで現在のK-POP業界と同じである。

1960年代、1970年代の日本の音楽マーケットは急成長していたことを考えると、「市場が成長する=新たな参入が相次ぐ=マネージャーが独立する」というメカニズムが働いていたのだろう(このメカニズムからの類推で、ベンチャーキャピタリストは、例えばサイバーエージェントやリクルートに在籍している、仕事のできるマネージャーくらいの人材には一度会っておく、というネットワーク構築の手法が考えられそうである。市場が拡大している分野で戦っている企業から独立した優秀な人材が、次のトレンドを作る可能性があるからだ)。

K-POPもいずれ飽和すれば日本と同じ道をたどる

「市場が成長していればマネージャーが独立し、市場が成長していなければアーティストが独立する」というようなメカニズムが音楽マーケットにあるわけだが、このメカニズムからマーケットがどのように変化していくかも予測することができる。

今後もしばらく韓国では、優秀なマネージャーの独立が続き、新たなK-POPアーティストがデビューすると考えられる。

しかし、日本において、ここ10年で起きているメカニズムを考えると、いずれ韓国も、アーティストの独立という問題が避けて通れなくなる可能性がある。

K-POPのマーケットが飽和するまでには、まだまだ時間がかかるかもしれないが、マーケットが飽和するとパイの奪い合いが始まる。

パイの奪い合いが始まれば、放っておくと、K-POPも日本と同じような状況になるだろう。

一方、日本においては、現在はアーティストの独立が起きているが、新たなマーケットが誕生し拡大すれば、マネージャーやプロデューサーの独立が盛んになるはずだ。

実はこの成長のきざしがすでにあり、私はYOASOBIに注目している。

音楽ランキングに登場するYOASOBIの楽曲をよく聴く人、彼らの新曲に注目している人は無数にいるだろうが、私は彼らの生み出した楽曲制作のメカニズムの仕組みとその可能性に注目している。

2021年、海外で一番視聴された日本のアーティストが、YOASOBIであった。斬新なところは、小説が歌詞のもとになっているところである。

小説をもとにした歌詞があり、アニメーションをつけ、歌い手が歌う。これは革命的に斬新だ。ヒット曲の「夜に駆ける」は、星野舞夜の小説『タナトスの誘惑』がもとになっている。