日本の衰退は免れない

ご存じのように昨今、日本は急激な少子高齢化に見舞われている。

このまま進めば、どれほど企業が頑張ったところで、日本の衰退は免れない。その事実は、どんな楽観論者も否定できないはずだ。

そして、少子高齢化というのは、いま何も手を打たなければ、必ず進んでいく。つまり、いま何も手を打たなければ、日本は必ず衰退するのだ。

南海トラフ地震のような大災害は、もしかしたら、この数十年のうちには起きないかもしれない、もしかしたら100年くらい起きないかもしれない。

しかし、少子高齢化は、地震のような不確定な要素はまったくない。このままいけば、必ず避けられないものなのである。

厚生労働省の発表では、2022年の出生数は80万人を割りこみ77万747人だった。出生数が80万人を下回るのは1899(明治32)年の統計開始以来、初めてのことである。1970年代には200万人を超えていたこともあったので、この落ち込み方はすさまじい。

少子化
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わざわざ少子高齢化を招いたとしか言いようがない

先ほど触れたように、日本人のライフスタイルが変わったことは、晩婚化や少子化の一因となった。が、これほど急激な少子高齢化が起きたのは、政治の失策が大きな原因となっているのだ。

というより、ここ20~30年の政治は、わざわざ少子高齢化を招いているとしか言いようがないほど、お粗末なものなのであった。

実は少子化という現象は、日本だけのものではなかった。

「女性の高学歴化が進んだ社会は少子化になる」ということは、かなり前から欧米のデータで明らかになっていた。

そして、欧米では、日本よりもかなり早くから少子高齢化の傾向が見られていた。日本の少子化は1970年代後半から始まったが、欧米ではそのときにはすでにかなり深刻な少子化となっていた。

そして1970年から75年くらいまでは、欧米のほうが日本よりも出生率は低かった。つまり、40年以上前から少子高齢化は、先進国共通の悩みだったのだ。

が、その後の40年の歩みが、日本と欧米ではまったく違うのである。