年齢ごとの課題をクリアできるかどうかにこだわる日本

日本では、【就職活動】ひとつをとっても、全員が同じ年齢で(大学3年生のある時期に)就職活動をする、というように「人と同じタイミングで同じことをする」というシステムが出来上がってしまっているため、少しでも、時期がずれたり、人と違ったりすると疎外感を抱きやすい人が多いようです。こういったことを【世界レベルでは些細なこと】と意識することでだいぶ楽になります。

日本では、【年齢】にまつわる実際の縛りもあります。小学校入学に関しては、4月1日までに6歳になった子供が小学校に入学します。4月2日に生まれた子供は来年の入学になります。

日本の小学校やその後続く中学校や高校で、ドイツのような落第はまれですから、6年生を2回やった、とか中学2年生を2回やった、という人も少なく、高校卒業時には(ほぼ)全員が18歳、そして大学に上がるときも(ほぼ)全員が18歳。就職活動を始める時期も年齢もみんなほぼ一緒で、(大卒の)「新入社員」も全員22歳か23歳です。日本で教育を受けると、「何歳でこれをするべき」という「枠」に当てはめようとする考えになりがちです。

不妊治療の悩みも日本ではよりシリアスに感じられる

唐突ですが、日本で不妊治療をしたり、子供ができないことを真剣に悩む女性の多さに驚いています。ドイツにももちろん子供ができないことを悩んだり、不妊治療をしている人はいます。でも、日本の深刻度は凄いのです。日本の場合、不妊治療は非常にセンシティブなテーマであり、例えば複数の女性で集まったときに、誰かに子供がいて、その一方で誰かに子供がいなかったりすると、会話の内容によってはなかなかシビアなムードになることも。

妊娠検査薬を持ち悲しむ女性
写真=iStock.com/bymuratdeniz
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その背景には、日本人がドイツを含む欧米人よりも「血のつながりを重視する」(日本で養子は欧米よりも少ない)という点、「日本では『家』を大事にする」(両親から「孫はまだ?」と催促があったりする)という点など様々な理由がありますが、一つの大きな理由は、やはり日本になんとなく根付いている「何歳になったら、これをしなければいけない」という潜在的な価値観が関係していると思うのです。