“看護学生兼ロリータ”に迷いが生じた

平日は高校へ通い、週末はモデル撮影。めまぐるしい生活が始まりました。とにかく忙しかったけれど、とことん充実していました。今だからいうと、私にとって読者モデルとしての活動は、趣味の延長でした。ただただ「かわいいロリータのお洋服を着られる!」という喜びに満ちていて、それだけでよかったのです。

ひたすら楽しかった“看護学生兼ロリータ”時代に迷いが生じたのは、短大の看護学科へ進んでからのこと。

進学した先は、髪の色やネイル、服装などが校則で厳しく規制されていました。これがつらかった。いちばんおしゃれを楽しみたい年ごろで、けれど、大好きなファッションで登校すると注意の連続。私にはかわいくてたまらないボンネットやリボンも「ここは学校ですよ!」と毎回叱られました。

学校だからこそ、私にとって戦闘服であるロリータアイテムを身につけて向き合いたかっただけなのに。

このまま看護師を目指していいのか

医療の勉強会で最前列に座っていたら、講師からビンタされたこともあります。頭につけていたミニハットが、講師には“不まじめ”に映ったようなのです。そのうち、だんだんと毎日をキツく感じるようになりました。キラキラと楽しい撮影現場と、大好きなロリータを否定されながら国家試験の勉強に追われる学校生活。このギャップが大きすぎて……。

周囲のモデル仲間は、アパレルブランドのカリスマ店員だったり、ファッション系の学生だったりして、看護師を目指す私は異色の存在でした。

このまま看護師を目指していいのか、モデル活動に絞ってファッション系の学校へ進む道もあるんじゃないか、などと迷い始めたのです。専業モデルとしてのお誘いもありました。でも、それだけでやっていけるほど甘い世界ではないし……悶々もんもんと悩む日々。このころが人生でいちばん悩んだ時期かもしれません。